地中海ボートピープル北上、カレーから英国へ。

リベラシオン紙 (8月18日付)。
リベラシオン紙 (8月18日付)。

 昨年以来、アフリカ・中東諸国の内戦と 「イスラム国」勢力を逃れ、多くの避難民が手引き人のトロール船でイタリア、ギリシャの島々にたどり着いた。トロール船の難破により約2千人が死亡。この1月から、数十万人にのぼる移民・亡命希望者が欧州に上陸した。7月だけでも10万7千人以上。 6月上旬、パリ18区の高架下で野宿していた数百人の移民が、官憲に暴力的に立ち退きを強いられた情景は市民に衝撃を与え、カズヌーヴ内相も対応策に困惑。彼らはシェンゲン協定非加盟の英国に行けばどうにかなるという噂を信じる。英国は不法移民の35%に短期滞在を許し、週50ユーロの手当を支給するが、期限後は野放しに。
 ユーロトンネルの入口があるカレーでは、10年前から彼らが野宿する「ジャングル」と呼ばれる空地の治安が問題になってきた。彼ら2、3千人は英国に渡るためなら手段を選ばない。危険を賭して列車やトラックの車体下部にしがみつくか、トラックの運転手に500€を払い貨物の中に隠れるか、警官とネコ・ネズミの追いかけっこを繰り返す。
 リベラシオン紙(8/18付)は、アルバニア系手引き数組織の検挙を報じた。8月中旬、4人のアルバニア人と仏女性2人も逮捕。彼らは2カ月半の間に255人をトラックに隠して渡英させ、200万ユーロを稼いだという。出発前の宿泊から英国到着まで引き受け、1人6千〜1万ユーロを請求していた。
 移民の「大群」に怒るのはキャメロン英首相。仏政府は移民問題に目をつぶってきたと批判し、英仏摩擦が表面化。03年トゥケ協定では、英国はシェンゲン協定非加盟なので、英仏間の国境は仏側にあるとする。
 8月21日、カレーで英仏内相は警備員の増員や監視強化の英仏協力態勢を組むことに同意。今や移民・避難民はイタリアやギリシャだけの問題ではない。昨年20万人の亡命者を受け入れたドイツは、今年はバルカン諸国からの移民も含め、亡命者が80万人にのぼると見られる。ドイツは亡命申請者の中でキリスト教徒を優先的に受け入れているという。メルケル首相は、今やEUの重大課題はギリシャの財政緊縮問題以上に、大量移民の受入れ態勢だと指摘。
 第2次大戦後、ドイツは労働力不足を補うためにナチスに協力したトルコから、フランス・オランダ、北欧諸国はギリシャやポルトガル、イタリアから大量に労働者を迎え入れた。21世紀の移民はアフリカ・中東の内戦と「イスラム国」勢力を逃れ、大半はイスラム文化を携えてきている。 
 今日、欧州連合諸国は文化・社会的にも大きな変化に直面している。移民排斥感情をあおる極右勢力と、新移住者との関係が複雑化していきそうだ。(君)


 

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