原子力大手アレヴァは11月18日、2015~16年の財務目標を棚上げにすると発表した。今年度は前半期だけで6億9400万ユーロの純損失を計上しており、通年の純損失額は10億ユーロに達する見込みだ。フランスのフラマンヴィルとフィンランドの欧州加圧水型炉(EPR)の建設の大幅な遅れ、原発事故以来の日本の原発の再稼動の遅れ、原子炉や原発廃棄物処理の契約の停滞など、世界的な原子力市場の低迷が原因のようだ。アレヴァの株87%を有する国が20億ユーロの資本注入を検討しているとか、資産管理機関を設けて不良資産を整理するなどと取り沙汰されており、事態はかなり深刻だと言えよう。
いずれにしろ、アレヴァはドイツにおける雇用削減、4億5千万ユーロ規模の資産整理、経費節減計画を検討中だ。健康上の理由から10月から休職しているリュック・ウルセル社長に代わり、政府は現ナンバー2のフィリップ・ノッシュ氏を社長に、フィリップ・ヴァラン現プジョーシトロエングループ会長を年末に会長にすえて建て直しを計る。フランス経済の基幹産業の1つであるだけに、政府にとっては頭の痛い問題だ。(し)