商店街に並ぶ店の入り口は限りなく狭く、ショーウ ィンドウの雰囲気からは、パティスリー、またはお総 菜屋さんかと間違えてしまいそう。もちろんテイクア ウトもできるのだが、夏の時期はテラスで、そして秋 口からは 2 階で食事ができるこの店は、ドイツ、オー ストリア、東欧料理の専門店。2 階のサロンドテはチ ロル地方の山小屋の雰囲気。15 時すぎからはここ 17区界隈のマダムたちで賑わう。お昼のメニューにはメ イン+デザート(18.90 €) がある。
まずは二人で 50cl のドイツビール Franziskaner(5.8€) をアペリティフにたのむ。友人は海鮮盛り合わ せ(17 €) を、私はメニューから今日の魚。海鮮といっ ても生ではなく、東ヨーロッパは薫製食品を得意とす る。手作りのタラマ、盛りだくさんのサラダの上にハ ドックをはじめ、ディルを特徴的に使ったスモークサ ーモンにマスがたっぷり。私のメインは、オーストリ アのお菓子の名前でもあり、巻く、という意味のStrudel シュトゥルーデル。薄くのばしたパイ生地で魚 を包む。カリッとした食感の生地にホクホクした身を サワークリームと共に食すことによって後味が何とも さわやかな鱈と鮭。ハンガリー、スロベニア各国でも この料理は伝統的な手法だという。食べごたえがある 温野菜の付け合わせにさらに、サイドプレートのサラ ダが付く。てっきりサービスか頼んでいない前菜がき たのかと思い、給仕に聞くと、menu はこのサラダ込みなのだそうだ。青林檎、胡瓜、ビーツなどを、くどい ドレッシングではなく、フレッシュハーブが効いたソー スで食べる軽さ。しっかりと野菜の味を堪能できる。
デザートにはプラムのデニッシュを冷えた辛口のオ ーストリア白ワインで。デザートは甘いものであるは ず。ところが生地は限りなく甘さを抑えられ、果物の 風味が引き立つ案配。店内のケースから好きなデザー トを選べる。
東欧の味とお酒を楽しめ、また色鮮やかなタルト類、 しっかりと手をかけたザッハトルテなどを見ながら、 東欧の食文化の奥行きを知った。(麻)
Kaffeehaus
Adresse : 11 rue Poncelet, 75017 parisTEL : 01.4267.0719
火~土10h-19h30、日 10h-13h 月休。 - 日曜営業