パリに近く、衣食住が安い。

常設市場内の魚屋。

常設市場内の魚屋。

Aubervilliers市(パリ北郊外)

 沖至さんは、フリージャズの名トランぺッター。1974年の渡仏時には、朝日新聞の天声人語で、「沖至のパリ移住は、ひとつの頭脳流失」と記されたほど。そして40年。季節はいくつも巡ったが、先鋭的な音と戯れ続ける沖さんだけは、いつまでも変わらないようだ。
 現在の居住地は、パリ北方の郊外オーベルヴィリエ市。15年前から住んでいるが、特に住みたい町ではなかったという。「以前住んでいたのは、楽器作りの学校があるリヨン。でも僕の仕事は「出前屋」。練習やレコーディングで移動が多いから、やっぱりパリでないと不便」。こうしてアパート探しを始めたのだが、問題は膨大な数の金管楽器。数百以上のコレクションがあるため、収納スペースが必要なのだ。パリだと家賃も跳ね上がる。
 そこで目をつけたのが、家賃も安く、交通の便が良いオーベルヴィリエ市。「15年前はチンピラが多く、道で絡まれることもあった。でも最近はチンピラも年をとって弱くなったみたい。(笑)ずいぶんクールな町になったよ」
 とはいえ、この町の住民の4割以上は移民。雑然とした雰囲気にひるんでしまうのか、日本人の姿はあまり見かけない。「日本人の住人は僕くらいかも。でも衣食住が安くて穴場だよ」。2017年には、地下鉄12番線が中心地まで開通するから、さらに便利になる予定だ。
 さて沖さんのお気に入りは、市役所に隣接する巨大なマルシェ。早速本日は、ツヤツヤ光る刺身用マグロをお買い上げだ。日本よりフランス生活の方がすっかり長くなったけど、故郷の味は忘れてはいない。そして戦利品は1ユーロのベルト、計2本! 「節約すれば、また楽器も買えるからね」。珍しいアンティーク楽器のコレクションに加え、芸術品のような沖さんお手製の楽器コレクションは、今も増える一方なのだ。いつかこの地で、ムッシュー沖のトランペットミュージアムがオープンするのも、夢ではなさそうだ。(瑞)

●Marché du centre-ville

 食料品から日用品まで、生活必需品がすべて揃うマルシェ。大通り側は露天が広がっているが、奥まで進めば屋根付きの常設市場も。パリに比べ食料品が3割は安そうだ。料理上手な沖さんは、毎朝欠かせないというスープ用の野菜を、ここでたっぷり買うのだとか。
火木土 8h-13h。
Av. Victor Hugo 93300 Aubervilliers
●Au Chien qui fume

 気さくな店員さんが心地よい、マルシェ近くのカフェ。自由に読める本が置いてあったりと文化の香りも漂う。パリよりはお手軽な値段設定。生ビールは一杯3.2€也。5h30-24h。無休。
193 Av Victor Hugo 93300 Aubervilliers

●Eglise Notre-Dame-des-Vertus
 市役所前広場に面したバロック様式の教会。干ばつが続いた1336年、少女がマリア像に降雨の祈りを捧げると、たちまち雨が降ってきたとの伝説が。現在も教会内には、将校が奇跡のマリアに捧げた4本の大きなろうそくが飾られている。
1 rue de la Commune de Paris
93300 Aubervilliers

マルシェにて。

マルシェにて。

沖さん作のトランペット。

沖さん作のトランペット。

市役所前広場。

市役所前広場。

アブデライ・ベナ二、 アラン・シルヴァと共演。

アブデライ・ベナ二、 アラン・シルヴァと共演。

 

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