パリ動物公園のディレクターやスタッフにインタビューしてみました。
パリ動物公園を管轄する国立自然史博物館のディレクター、トマ・グルノンさん。
ヴァンセンヌ動物園は老朽化し、改修の必要に迫られ、2008年に門戸を閉じました。ここで私たちは、動物園をいかに再生させるかを考え直す機会を得たのです。そこで出た答えは、「21世紀型の動物園」。つまり「自然科学の伝達の場・種の保存・研究の場」という3つの使命を持つ動物園を目指すということでした。
この新動物園は、来訪者を生物の多様性への旅へと招待することになるでしょう。前世紀までの動物園では、檻(おり)の中の動物は博物館の展示物のようであり、人間の好奇心を満たすための見せ物として存在していました。しかしこのパリ動物公園での主役はあくまで動物。私たち人間が、動物の世界に招待されるのです。動物たちには、できるだけ自然での生活に近い居心地のよさを提供するために、十分なスペースを確保しました。自然に生きる野生動物は、時に姿を隠すこともありますね。ですからパリ動物公園でも、私たち人間の方が、動物を見つけるために、受け身ではなく能動的に自然を観察するという辛抱強い態度が必要となるでしょう。
ゾウやクマがいないのを残念がる人もいます。しかしゾウやクマには、それぞれ1ヘクタールのスペースが必要です。14,5ヘクタールの敷地しかない都会の動物園では難しいと判断したのです。またパンダはアジアの動物ですから、用意した5つの生息地帯に入らず、選びませんでした。しかし同じ国立自然史博物館が管轄するパリ5区の植物園のメナジュリー(小動物園)には、パンダ(レッサーパンダ)がいます。世界最古の動物園のひとつで、歴史的建造物もある植物園のメナジュリーと、生物の多様性を意識させる新時代のパリ動物公園は、補完的な役割を果しているといえます。
スター的な動物はキリン、スペイン・オオカミ、マナティー、ライオンなどでしょうか。新しい企画として、訪問者と動物との絆を深めるために「動物サポーター制度」も始めました。公式サイトから応援したい動物を選び、15~1000€の会費を払うと、特別情報が得られたり、園の招待券がもらえるなど様々な特典が受けられます。収益はすべて種の保存プログラムのために使われます。お気に入りの動物を見つけ、ぜひ環境保全に力を貸してください。
アメリカバクの飼育係エロディーさん。
アメリカバクの魅力は愛嬌のある顔でしょう。長めの鼻を上手に動かして草を食べます。ここにいるのは、おしどり夫婦のペドロ(♂)とキダ(♀)。ブルターニュの動物園からやって来ました。私はスタージュ生として動物園に入り、欠員が出た時に正式なスタッフとなりました。人気のある仕事なので、給料も最低賃金からスタート。でも動物たちが心地良く過ごせるために世話をすることは、手応えを感じるやりがいのある仕事です。
Parc zoologique de Paris
Adresse : Av. DaumesnilとRoute de Ceinture du Lac Daumesnil, 75012 paris , FranceTEL : 01.4079.3125
アクセス : M° Porte Dorée