1950年代、ヨーロッパでは低価格で新しい様式の住宅が多く建設された。住面積は縮小され、そのスペースに合った機能的な家具が必要となってきた。
当時のアメリカでは、経済的にも技術的にも発展がめざましく、新素材の圧延プラスチック、グラスファイバー、弾性ゴムなどを使用した家具が次々に出現した。
フランスでは、シャルロット・ペリアン、ジャン・プルーヴェ、 セルジュ・ムイユなどのデザイナーたちが、合理的で無駄のない構造の家具を創作し、新しい住空間で活かされていた。50年代の家具は、モダンかつ色とりどりでオプチミズム感がある。60年代の家具は、流行としてのデザインを持ち、ベビーブームの世代の家に置かれる大衆化された家具の世界といえる。
「私はシンプルで機能的、そして美的感覚のある50〜60年代の家具が大好き」と語るのはインテリア・デザイナーのキャロリーヌさん。彼女は、以前は本屋だったスペースに50〜60年代の家具ショップをオープンした。
デンマーク人の建築家で、その家具デザインの多くがモダン様式の手本となっているアルネ・ヤコブセンの「ロワイヤル・ホテル・シリーズ」の木材とスチールのテーブル。イングマール・レリングのデザインの機能性、デザイン性ともに優れた、ゆったりとくつろげるソファー「Siesta」…。キャロリーヌさんが好きで集めた有名なデザイナー家具たちが、壁に本が並び、アパートのサロンのように演出された空間にディスプレーされている。(苗)