3月5日、欧州連合(EU)加盟国と欧州議会との間で域内出向労働の乱用に対する措置に関して基本合意が成った。建設業において出向労働乱用の監督を強化し、下請会社の出向労働者を受け入れる企業を指導するというものだ。しかし、欧州労組同盟はこの合意が労働市場の自由化を優先しており、十分でないと批判。出向労働者は労働コストの低い国から高い国に出向させられるケースが多く、賃金は派遣された国の基準にほぼ従うものの、社会保障費は出身国の基準に合わせて低いため、労働ダンピングとして問題視されている。
フランスではこのEU合意をさらに進めた国内法が2月末に国会で可決された。劣悪な労働条件で出向労働者を雇う下請けを使う企業の取り締まりを建設業だけでなく、あらゆる業界に拡大し、そうした企業のブラックリストをインターネット上で公開。さらに労組が裁判に訴えることを可能にするもの。国内企業に雇用された人と同様の労働基準監督とまではいかないが、大きな進歩ではある。フランスでは出向労働者の届出が2004年の26,466人から13年は21万人と8倍に膨れ上がった。(し)