どこまでも続くぶどう畑。なだらかに連なるヴォージュ山脈。ライン川にそって南北に広がるアルザス地方は、ワインと美食で世界にその名を知られる。上質な白ワインの産地であるヴォージュ山脈の裾野には、おとぎの国のような美しい小さな村が点在し、幸せを運ぶコウノトリが屋根の一番高い場所に巣を作っている。
古くから交通の要所であり、鉄鉱石や石炭を豊富に産出することから、たびたびドイツとフランスの国境争いの舞台となった。アルザスの人々は、ドイツ人でもフランス人でもなく、アルザス人であることに強い誇りを持ち、ドイツ語に近いアルザス語を話す。
幾多の争いの歴史を乗り越え、今日ではヨーロッパの地理的中心地として、EU議会をはじめ多くの国際機関が存在し、医薬品や自動車関連、環境関連企業など先端技術系企業が集中し、注目を集めている。そしてこれからの季節、ストラスブールやアルザス・ワイン街道では、幻想的な光に包まれたノエル市が盛大に開催される。(高)
文・写真:五右エ門、林瑞絵、高地良幸