ムール貝は、ほとんど年中あるけれど、moule de bouchotと呼ばれる、ノルマンディー産やブルターニュ産の小粒で身が黄色がかったものがうまい。このムール貝は7月中旬くらいから2月すぎまで出回る。以前は魚屋で1リットルや2リットルの丸い升で量って売られていることが多かったが、最近はキロ売りが増えている。1リットルのムール貝は700グラムくらい。1キロのムール貝は、むき身にすると、250グラムくらいになる。
調理する前に、貝からはみ出ているbarbeと呼ばれるひげ状のものを引き抜き、貝をこすり合わせるようにしながら、蛇口の流し水で丁寧に洗う。水に浸して洗ってはいけない。うまみが逃げて味が半減。白ワインで煮て、生クリームをかけたmoules à la marinièreが名高い。とにかく大きめの鍋を用意して、エシャロットや白ワインを加えたら強火にかけ、ムール貝を一気に加える。絶えず混ぜ合わせながら全体に熱がいきわたるようにすることが大切。こうするとムール貝が同時に開く。火を通しすぎると、身が固くなりチューインガムになってしまう。