モンマルトルの階段から、まるでスキップしているように軽やかな足どりで、金髪のひとが降りてくる。今年、日本外務省主催の第6回国際漫画賞の優秀賞のひとりに選ばれた中国人漫画家MINT(本名:ヤオ・ウェイ)。
ハルビン生まれ。13歳の時に、成田美名子作『エイリアン通り』、田村由実作『BASARA』の漫画に出会う。美術学校入学後、デッサンの先生にすすめられて、19歳から香港に接する大都市シンセン市で漫画を描き始め、その後、北京でオリジナル少女漫画家の代表として活躍し、さまざまな賞を受賞。
今回、日本での受賞対象となった『半空的花』では、パリに留学し、たまたま隣人となった日本人と中国人の女の子のフランスの異国文化の中での心の交流が、春のはじめの空のごとく、豊かで、淡白で、さまざまに変化していくように描かれている。
現在、MINTもパリと北京に居住している。「わたしは、今、このときの人生の意味、生活そのものを描き続けたい」。風に吹かれるように軽く去ってゆくMINTは、彼女の描く漫画の魅力そのものだった。(苗)
*中国の出版社発行の『半空的花』を手に入れるのは大変だが、冒頭の何ページかは国際漫画賞のサイトで見ることができる。www.manga-award.jp