カタール皇太子が首長に。

 オランド大統領が6月22、23日に訪れたカタールのハマド首長(61歳)が25日、テレビで4男タミム皇太子(33 歳)に首長位を譲位した。タミム新首長は「スポーツ大臣」とも言われ、フランスのサッカーチームPSGを買収、2020年ワールドカップ主催国となり、小国(コルシカ島の面積)ながら世界の脚光を浴びている。国民20万人に対しインドなどからの移民労働者140万人がひしめく半島に摩天楼がペルシア湾にそびえる。
 カタールは1825年以来、王家サーニー家が支配する。1968年イギリスのスエズ運河撤退後、1971年アラブ首長国連邦が結成され、カタールも同連邦に含まれたが、同年9月3日、単独で独立。1972年アフマド首長の外遊中に息子ハリーファが無血クーデターを起こし、6代目首長に。1995年、同首長外遊中に同様に息子ハマドが無血クーデターで7代目に。ハマド首長からタミム皇太子への譲位を、首長は「アラブの春」に匹敵する改革と国内外に誇る。同時に首長の座をねらっていた従弟のハマド・ビン・ジャーシム首相兼外相を退け、アブドラ内相を首相に起用しタミム新首長の身辺を固める。
 フランスはハマド首長によるクーデター後、友好国として認め、仏石油会社トタルが石油開発に取り組む。首長自身フランス語に魅せられ、多妻との子供24人、第二夫人モーザ王妃、閣僚までモリエールの言葉を学ぶ。モーザ王妃は18歳でハマド首長に嫁ぎ7人の子供を持ち、その一人が最愛のタミム新首長。彼女は理知的でチャーミング、アラブ女性のヴェールは被らずフランスのブランド品ずくめ。タミム新首長は2003年にフランス陸軍士官学校で学び、ヴェルサイユ宮殿に感嘆した。カタール投資庁はフランスのシャトー、最高級ホテル、ロイヤルモンソーやマルティネーズ他を買収。モーザ王妃お気に入りのプランタンデパートもこの4月に16億ユーロで買収。ジャン・ヌーヴェル設計のドーハ国立美術館には、すでにセザンヌの『カード遊びをする人々』も。
 カタールはポスト石油時代に向けて中近東の文化大国になることを目指し、フランス文化の導入に努める。この指向に意気投合したのがサルコジ前大統領で2008年、ドーハにフランス語教育のリセ・ヴォルテールが開校。年間授業料8千ユーロのこの私立校にエジプトやモロッコ、レバノンなどの高官や金持ちの子弟も通学する。が、フランス人校長や教師が次々に交代させられている。例えばカタールでは18歳までイスラム以外の宗教を知るべきでなく、西洋史の中でキリスト教についての章を削除、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』の胸が開きすぎと検閲。果たしてイスラム国に政教分離の「自由・平等・友愛」精神を導入できるのか外務省は頭を抱える。
 2020年ワールドカップに向けて越モダン高層建築は仏ブイグ社、トラムウェイはアルストム社とカタール様々のフランスだが、カタールは仏コングロマリット、ラガルデール株12%、航空宇宙企業EADS株6%、トタル株4%…とフランスの主要企業にくい込む。フランス政府はカタールによるパリ郊外の中小企業援助金投入案にはイスラム化を恐れて仏資金折半としたが、フランスの有形無形財産を手に入れるために金に糸目をつけないカタールにどう対処していくか。(君)
写真:2011年にカタールに買収されたPSGの会長は、もちろんカタール人のナセル・アル・ケライフィ(写真左)。右は新コーチのローラン・ブラン。

 

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