●«L’Inconnu du lac»のアラン・ギロディ監督インタビュー
湖のほとりのヌーディストビーチ、ここは男たちのハッテン場。愛を求めさまようフランクは、野性味溢れるミシェルに、心も体も奪われていく…。現在公開中の映画『L’Inconnu du lac』は、カンヌ映画祭の「ある視点部門」で監督賞を受賞した話題作だ。性描写はハードだが、湖の水の輝きは優しく官能的。サスペンスやコメディ要素もあるけれど、紛れもなく純度の高い恋愛映画だ。「ゲイ映画」と片付けてしまうには、あまりに豊穣過ぎる本作の監督は、ゴダールがその才能を賞賛した鬼才アラン・ギロディである。
なぜ同性愛を通して愛を語りたかったのか?
まずはロマンティックな恋愛映画を作りたかった。同性愛は異性愛よりも、移り気で自由度が高いという違いはあるだろうね。でもそもそもは、自分のよく知っている同性愛というミクロコスモスを通して、自分自身の実存的な不安を描いてみたかった。それが結局、他人についても、よりよく語ることにつながると考えたんだ。
製作資金を得るのは大変だったと思うが。
テレビからの資金援助はアルテからしかもらえなかった。しかも、カンヌ映画祭の出品が決まってからやっとくれたんだ。(笑)でも、はじめから製作にお金はかけていない。スタッフも少ないし、撮影場所も湖のほとりだけ。大変だったのは天気かな。自然の中の撮影だから天候には気を遣った。夕暮れが迫ると撮影時間も少なくなるし。
最近、同性婚が合法化されたが。
私も賛成のデモに参加。アンチの人がこんなに多いとは思わなかったけど。(笑)でも結婚制度そのものに興味はないんだ。内心、古めかしい制度だと思っている。
監督として、フランス映画という家族に属している気はするか?
フランス映画の中にはたくさんの家族がある。僕はブリュノ・デュモンやラリュー兄弟らと親しい。彼らの仕事に興味があるし、互いに刺激を与え合っていると思う。でも外国人でもナンニ・モレッティやペドロ・アルモドバルには親近感を感じる。フランスのフランソワ・オゾンやオリヴィエ・アサイヤスよりもね。(聞き手/瑞)
© Les Films du Losange