De lente is er !(ドゥ・レンテ・イズ・エール) 春が来た!

 知り合いのオランダ人が年季の入った自転車を乗り回しているので、「どこで見つけたの?」と聞くと、www.nederlanders.frという、フランス在住のオランダ人たちが情報を交換するサイトがあるのだという。さっそく調べてみると、言葉は全くわからないのだが、記事やアノンスのほか、チャットなどが充実した本格的なもの。早速、取材を申し込んだ。
 サイトを運営しているディドリック・ドゥ・ヨングさんはハーグ出身。1996年にフランス人と結婚したことを機に来仏した。当初はユネスコに勤務しながらセーヌ川に浮かぶ船を借りて同国人の親睦会を主催していたが、様々な相談を受けるうちにサイトを立ち上げることを思いついた。2001年からサイトの運営、執筆、営業、渉外や日刊ニュースレターの配信などを一人でこなしている。「情報は常に更新しているからパソコンは手放せない。二足のわらじも楽ではなかった」というディドリックさん。サイトに専念する決意を固め、昨年11月にユネスコを退職した。
 このサイトに現在1万人が登録し、毎日5000人がアクセスするが、その利用者の多くはオランダ人と、オランダ語に似たフラマン語を話すベルギー人たちだ。フランス在住の人だけでなく、夏のバカンスを見越して情報収集のために登録してくる人も3割いるという。また、サイト内に「パリ在住」、「料理好き」、「ゴルフ」など、テーマごとのグループを作って各々が情報を交換している。
 目下の問題は、やはり財源の確保。これまでページのレイアウトを崩さないように小さなバナーや商用・求人アノンスの掲載料でまかなってきたが、赤字が続いている。しかし、オランダ人たちがよく集っていたバーが閉店したり、文化センター・オランダ学院の閉館が決定されるなど、母国語で交流できる場が減っている中、サイトの需要は高まる一方である。大使館も在仏オランダ人に旅券更新などの情報を発信するときは、ディドリックさんに頼むことがあるという。
 ネットゆえに迅速な対応もできる。「ある時、フランスで夏休みを過ごしていたオランダ人の妊婦が緊急入院した。フランス語ができない夫は途方にくれたが、サイト上で助けを求めると、在仏オランダ人たちが、泊まる場所、通訳などの手配をした。僕らの結束は強いんだ」。飼い犬や猫などが行方不明になったときも、アノンスが載れば、同じ地区に住んでいる同国人たちが総動員で一所懸命探してくれるという。「お友だちのためにがんばる!」。何とも微笑ましくなって、子供のころ読んだ絵本の「ミッフィーちゃん」を思い出した。「作者のディック・ブルーナは父のいとこなんだ」とディドリックさん。陽気でほのぼのとした笑顔を見ていると、確かにオランダの国民的なウサギのマスコットにどこか似ていなくもない。(康)


母国語で読むということ〈オランダ語編〉