ラヴァルダン氏の目玉焼き

 今は亡き映画監督、クロード・シャブロルは食通として知られていた。それもシンプルでいながら味わい深い伝統的な料理に目がなかったという。料理名からとった『Poulet au vinaigre  チキンのビネガー風味』というスリラー作品があるくらいだ。

 名優ジャン・ポワレ演じるラヴァルダン刑事は、殺人事件の調査で地方の小さな町にやって来てホテルに滞在する。彼の好物は、朝ごはんの目玉焼き。ところがホテルで出てくる目玉焼きは、焼きすぎで黄身まですっかり焼けていたり、逆に黄身はとろりだが白身はにゅるにゅる生の状態だったり…。「baveuse  よだれをたらしている」ようなオムレツが大好きなフランス人も、にゅるにゅるの白身は大嫌い。日本風に、ごはんに割りほぐした生卵をかける朝食も、苦手なフランス人が多い。
 そこでラヴァルダン氏、やおらホテルの厨房に立って、目玉焼きを指南することになる。まずフライパンを中火にかけ、バターを加える。それが泡立ってきたら、ごく弱火に落とし、静かに卵を割り入れる。縁がかりかりつと焼ける頃には、白身にきちんと火が通り、それでいながら黄身はとろりと流れ出す目玉焼きのでき上がり。ラヴァルダン氏、それに赤いパプリカをふりかけて、一気に食べだす。本当にうまそうだ。名演です。
 目玉焼きを作って、黄身がプクンと半球のごとく盛り上がるようなら、卵が飛び切り生きがいい証拠。ペシャッとなるのは古卵。(真)

 


 

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