PSAの危機。

11月4日付 リベラシオン紙。
11月4日付 リベラシオン紙。
 欧州経済危機、歯止めのない失業増加で自動車産業が最悪の不況にあり社運まで危うくなっているのがPSAプジョー=シトロエン。今年9カ月間の扱い高287億ユーロは前年度比−9.9%、販売台数−15.2%、株価も年頭以来−56%暴落(12.61?→5.56?)。月間2億ユーロの損失、今年末の赤字額は30億ユーロに達する。7月、同社は8000人の社員削減計画を発表。2014年に閉鎖予定のパリ北東部オルネー工場(1973年創立)で3000人、レンヌ工場(1961年創立)で 0人他、事務員3600人という衝撃的な削減計画だ。
 PSAプジョー=シトロエンは国内で48%(ルノーは30%)を生産し、その65%を国内で販売。人件費節約のためルノーなどはルーマニアやモロッコなどで大衆車ローガンを量産したが、PSAは高級車の生産を維持してきた。中国には1985年に進出したが現在同市場の3%を占めるのみ。ブラジル、ロシアなどの市場も頭打ち。
 プジョー家はフランス産業のトップに君臨し、祖先は15 世紀にさかのぼる。農業から製粉業、そして鋳鉄製工具・自転車へと発展し、1891年に初めてアルマン・プジョーが自動車を手がけた。1905年ピエール、ロベール、ジュール3兄弟が〈ライオン・プジョー〉を設立、1912年にフランス東部ソショーに工場が創立されてちょうど百周年。1976年に経営困難に陥ったシトロエンを買収し、プジョー=シトロエンとなった。十数世代にわたるプジョー家は現在25%の株を所有し、親族5人が監査役を務める。今年2月にゼネラルモーターズとの合弁計画が発表された。 
 1929年以来GMの100%子会社オペル(ドイツ)がここ十数年経営困難にあり、GMはPSAとオペルの合弁計画(PSA70%、GM30%)を提案。合弁による技術提携と生産共同化により両社は5年間で20億ユーロの経費節減を見積もる。が、ティエリー・プジョー監査役会長はPSAがプジョー家の手から離れることを拒み合弁に反対。従兄のロベール・プジョー氏(PSAファイナンス銀行総裁)は自動車産業を手放し、不動産業や投資、電化製品などに転向すべきだと対立する。合弁派のヴァラン社長は犬猿の仲の双頭プジョーの後継者にもまれ、何時解任されるか分らない。
 政府がPSAの財政分析をサルトリウス氏に依頼し9月12日に公表された報告中、PSAの財政的致命点は、フォルクスワーゲン(シュコダ、セアトと合弁)やルノー(日産、ダチアと合弁)が早期に外国企業を買収していったのに対し、PSAはもっぱら株の購入(30億?)に努め、1999年から2011年にかけて60億ユーロの配当金を株主に支払っており、新型開発への投資が遅れたこと。
 沈没寸前のプジョー=シトロエンへの助け舟として10月23日、政府はPSAファイナンス銀行(月賦販売への貸付銀行)に3年間に70億ユーロを保証すると発表。その代償として、社員削減数の軽減と解雇後の再就職口の保証、監査役会に政府代表と社員代表の参加を要求する。さらに3年間は株主への配当金やストックオプション(役員や幹部の自社株購入)は行わないという条件を課している。重工業衰退の中で失業人口(300万人超 : 9月10.8%)をいかに抑えるかにオランド政権の命運がかかっている。(君)

 

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