校内・地域の境界を超える 少年非行・犯罪・暴力

 暮れにトゥールーズで一人の青年が警官に射殺されたことに抗議し、青少年らが数日にわたり機動隊と衝突。大晦日にはストラスブールやパリ周辺の町で、やはり青少年らが数十台の車を炎上させ、公衆電話やバス停を壊すという騒乱状態となった。
 また、パリ郊外のある中学校では教師らが暴力の中での勤務を拒否し、11月末に大半の教師がストライキに突入、校舎も一時閉鎖された。2月3日パリ10区の職業高校で、マフラーで顔を隠した青年が教師を短刀で刺し逃亡。犯人が外部者か生徒か退学処分を受けた者なのかは不明。
 またこの数年来都市圏で問題になっているのが、特に郊外区間のバス運転手への未成年者たちの罵りや暴力だ。
 これらは学校内外での暴力の氷山の一角にすぎない。こうした軽犯罪の30%は、12歳~16歳の未成年者が占めており、犯罪の若年化が目立っている。
 中学校の校長たちは、校内暴力の要因として、言葉による暴力(65%)、暴力(64%)、盗み(45%)、ナイフ、カッターの携帯(16%)、ユスリ(11%)などを挙げている*。
 一に失業、二に失業と他の問題を後回しにしてきたジョスパン内閣だが、昨年9月に昏睡状態に陥り九死に一生を得たシュヴェヌマン内相が年頭に復帰して以来、緊急問題として第二に少年犯罪を挙げ、その対策に取り組む方針を固めた。
 ところが、シュヴェヌマン内務相が昨年6月以来再び「非行少年を持つ家庭には家族手当の給付を中止すべき」、そして「少年再犯者は拘置監に隔離すべき」とジョスパン首相に進言したものだから、カッときたのはギグー法務相。彼女は、1945年法を尊重し「少年常習犯は拘置せずに里親か僻地の養護施設に送り、教育的に更正させるべき」と主張する。
 そこで1月27日ジョスパン首相は、内務相と法務相の対立に大岡裁き。”緊急収容施設”を50カ所に新設し、特に少年常習犯を即時 “リアルタイム”で隔離する。補導員を1万人採用。非行少年対象の特別学級を80から100に増やす。少年犯罪率の高い26県に警官・憲兵を7千人派遣、調査官も増員するなど、警備の強化とともに、少年の非行・暴力から犯罪への道を未然に絶つ姿勢を打ち出している。
 失業や家庭崩壊による家庭環境の悪化が、さらに校内暴力や不登校、少年犯罪を増加させていると言われている。シュヴェヌマン内相が”sauvageons”(野生児)と皮肉る非行少年たちがますますマージナルな道にはまり込む前に、いつどこでどのように彼らを更正させられるか、保護者、調査官、補導員の緊密な協力関係が不可欠になっている。

(君)


97年度1-2学期の中学校内事件・処分

7136件 軽犯罪事件
1998件 重大事件
1745件 懲罰処分
2181件 検察官に通告