映画『最強のふたり』で、瞬く間に国境を越え大スターとなったオマール・シー。今やジョニー・デップと同じエージェントに所属し、ハリウッド進出も秒読み段階。現在、サッカー選手役で出演するオリヴィエ・ダーンの新作『Les Seigneurs』が、観客数200万人越えのヒット中だ。
パリ郊外のイヴリーヌ県トラップ出身。父はセネガル人、母はモーリタニア人。俳優のジャメル・ドゥブーズやサッカー選手のニコラ・アネルカは地元の幼なじみだった。18歳でラジオノヴァ局の友人に呼ばれ、マイクの前でしゃべるうちコメディアンの才能が開花。ここでフレディ・テストと出会い、コメディユニット「オマールとフレッド」を結成。すぐにテレビにも進出し、カナル・プリュス放映のスケッチコメディ「SAV des émissions」が評判に。2000年代からは俳優業に挑戦。ほどなく『最強のふたり』の共同監督エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュと意気投合し『Nos jours heureux』などに出演。両監督はシーの才能を見込んで『最強のふたり』で初の主役に抜擢した。
タブー知らずの黒人青年ドリスの笑顔に観客は熱狂し、史上初となる黒人俳優のセザール主演男優賞をもたらす。来年もミシェル・ゴンドリーの『うたかたの日々』をはじめ出演作が目白押しだ。(瑞)