サパン雇用相は6月26日、法定最低賃金(SMIC)を2%引上げると発表した。5%の引上げを要求していた労組は落胆し、物価上昇率程度に抑えたかった経営者団体も不満の声を上げた。これにより、7月1日からSMICは時給9.4ユーロ、月給1425ユーロとなる(天引き前)。ただし、前回SMICが見直された今年1月から6月までの間のインフレ率は1.4%なので、実質的な購買力向上は0.6%増に止まる。SMICは原則として毎年1月1日に物価上昇率と肉体労働者の購買力上昇指数をもとに見直しがされている。
10年前の2002年の時給6.83ユーロに比べると38%も上昇しており、先進国の中ではかなり高いほうだ。しかし、サルコジ政権下では、2008年、2009年、2012年1月と、SMICは物価上昇を下回る割合しか上昇しかしておらず、不況の影響はあるにしても、「購買力向上」を公約した政権への労組の不満は大きかった。そこで、今回のSMIC引き上げが待たれていたわけだが、オランド政権は経済停滞と失業者増の状況からかなり控えめな上昇に止めざるを得なかったようだ。(し)