子供のための哲学アトリエ— 問いかけは芸術だ。

今回は子供25人が参加。先生はアンヌ・ソフィーさん。
今回は子供25人が参加。先生はアンヌ・ソフィーさん。
 「良い答え、悪い答えはありません。他人の意見は自分が前に進むのを助けてくれますね」。現役の小学校教師アンヌ・ソフィーさんがこう説明し、アトリエの幕が開いた。ここは文化施設「コレージュ・デ・ベルナルダン」。月に一回開催される子供のための哲学アトリエである。対象年齢は8歳から12歳だ。
 本日のテーマは「Histoire(歴史/物語)」。子供たちはこの単語について思うことを順番に語る。「授業」、「王様」、「中世」…。言葉を定義する子もいるし、連想するイメージを口にする子もいる。アンヌ・ソフィーさんはすべての言葉を板書。「過去のこと」、「これから語ること」というように、反対の意味が飛び出すのも興味深い。
 次に参加者全体が〈8歳・9歳〉、〈10歳〜12歳〉、〈保護者〉の三チームに分けられた。少人数のアトリエになるのだ。私は〈8歳・9歳〉を見学。ここでは若い先生が子供に「歴史」に関する質問を次々と投げかける。「歴史は繰り返す?」と聞けば、「パパやママが権威的なら子供もそうなるよ」、「反対になる人もいるわ」と子供たち。「祖先が違う歴史を生きてたら、私たちの生活は違った?」と聞けば、「もちろん!  祖先が火を発明したから今がある」、「いや、私たちが火を作ればいい」と子供たち。小さな哲学者たちの達者な思考回路に脱帽だ。同時に、子供に一切意見を押し付けることなく、辛抱強く言葉を引き出していく先生の態度に感心した。隣の部屋をのぞくと大人チームは「歴史」をさかなに議論が白熱中だ。シリア問題や戦争責任問題にまで話が及んでいる。発言者はみなラジオのパーソナリティ並に口が達者。アジアに話題が及んだ時、こちらに火の粉が飛んできては大変と、そそくさ教室を逃げ出す。
 こうして1時間半の密度の濃いアトリエが終了。この試みはカナダ人のマシュー・リップマン教授の理論を受け継ぐものだそうで、「対話の力で子供の考える力を伸ばす」のが狙いだとか。「問いかけは芸術。哲学の一歩です」。帰り際に、シンプルだが心に響く言葉をアンヌさんからプレゼントされた。(瑞)
●Goûters-philo 参加費:子供5€/大人3€。
Collège des Bernardins : 20 rue de Poissy 5e 
01.5310.7444(詳細は問合せを)
www.collegedesbernardins.fr
〈8歳・9歳〉クラス。 対話が考える力を伸ばしてゆく。

〈8歳・9歳〉クラス。 対話が考える力を伸ばしてゆく。

会場は、神学校、 ろう獄、学校、 消防署と様々な 用途に使われた 歴史ある建物。© Laurence de Terline

会場は、神学校、 ろう獄、学校、 消防署と様々な 用途に使われた 歴史ある建物。© Laurence de Terline

幼児用哲学 アトリエについての ドキュメンタリーも おすすめ。

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