ティム・バートン展が始まった。3年前にニューヨークのMoMAで開かれたこの展覧会に行く日がくるのが待ち遠しかったこと! 展覧会を観ると、青少年期から現在までバートンがどのように独特の世界を構築していったのかが理解できる。
体中を目で覆われた若い娘のデッサン。その横に貼られたバートンの直筆のメモには「バーで出会ったすてきな彼女はあまりにたくさんの目を持っているので、彼女が泣いたらあたりは洪水になってしまうだろう…」というようなことが走り書きしてある。他にも風船のようにパンパンに膨らんだ男の子、目がくり抜かれた骸骨然の像、頭が肥大したカップル…バートンのメガネを通すと、その「人」の特徴が強調されるのか、どの人物像も一種「特別な」風貌をしている。そして、こうした人物たちが、バートンの映画世界を彩る人物たちへと変身していく。
展覧会を見た翌朝、娘が「バートンの描く面白い人たちはきっと実在する。誰もが持っているどこか変なところをバートンが見抜くのだと思う」。おー、鋭い意見。私も展覧会を見て、バートンの鋭い観察眼に脱帽した。「するとバートンが私たちを描くとどうなるんだろう…どんな特徴を見抜かれてしまうのだろうね?」とこの朝はこんな話で盛り上がった。
シネマテークでの展覧会へは何度か一緒に行っているが、娘が私以上に興味を示し、熱心に展覧物を見てキャプションを読んでいたのは、たぶんこれが初めて。バートン作品の多くを娘が見ていること、そして娘自身がバートンの世界に共感していることが大きな理由だろう。(海)
Cinémathèque française : 51 rue de Bercy
12e 01.7119.3333 www.cinematheque.fr
8月5日迄。
月水金12h-19h、木12h-22h、
土日10-20h。火休。
11€/5.5€(18歳以下)。
月水金12h-19h、木12h-22h、
土日10-20h。火休。
11€/5.5€(18歳以下)。