オランド社会党候補誕生。

10月17日付リベラシオン紙。
10月17日付リベラシオン紙。
 10 月16日、社会党予備選挙決選は予想通りオランド候補57%、オーブリ候補43%で「ノーマルな大統領(サルコジ大統領へのあてつけ?)」を志すオランドが次期大統領選左派候補に決定。
 サルコジ大統領と与党は、予備選挙は党内分裂を招くだけでなく共和制選挙法違反と批判したが、9日の第1回投票に270万人、決選に280万人を動員できたことに社会党は自信を得る。第1回投票はオランド39%、オーブリ31%、モントブール17%、ロワイヤル7%、ヴァレス6%、バイレ1%と、社会党の中でも左寄りのモントブールが前回大統領候補ロワイヤルを押しのけて3 位にのし上がる! この予想外の得票率に、彼の脱グローバリゼーション説やEU保護貿易論への共鳴者が17%もいたと我が意を得たりのモントブールは、党内ヒエラルキーを破り一目おかれる存在に。
 敗者ロワイヤル、ヴァレス、バイレとも次々にオランド支持を表明。モントブールがオランドかオーブリどちらにつくか気もたせの数日間、当然オランドより左寄りのオーブリにつくはず、と左派市民の憶測に反し最終的にオランドについたのだ! 彼もオランド当選後の大臣席を狙っているのかと市民は勘ぐる。が、党内の人間関係はややこしく、どうしてモントブールがオーブリにそっぽを向いたのかというと、10月に新聞沙汰になったフランス南部のブッシュ・デュ・ローヌ県社会党連盟ゲリニ代表の弟のゴミ処理会社への職権乱用疑惑をモントブールが指摘したがオーブリが耳をふさいだこと。もう一つは今回の斬新的な予備選挙を3年前にオーブリに提案したのは彼だったのに…と彼女に対する恨みつらみが重なる。オーブリにはファビウス元首相、ドラノエ・パリ市長、彼女の脱原発公約に期待するエコロジー・緑の党が支持したが、党内で四面楚歌に追い込まれ、敗者の涙を抑えながら第一書記の座に復帰した。
 それにしても最終対決戦でのオーブリの激烈な毒舌は彼女の側近も懸念するほどに激烈だった。オブリはオランドの八方美人的体質を「軟弱な社会主義者」と斬り込む。が、2008年まで11年間党首として社会党の分裂を回避できたのは彼のまとめ役能力のおかげとオランド派は弁護する。 
 オランド(57)、オーブリ(61)ともミッテラン、ドロール(マルチーヌ・オーブリの父親)、ジョスパンを師としてばく進してきた社会党員。社会党ファミリーの勝ち気な姉とおっとり型の弟の関係ともいえる。フランソワ・オランドの父は極右系医師、母は敬虔なカトリック信者でソーシャルワーカーだった。相異なる両親に挟まれ幼年時代から角を丸くせざるをえなかった彼は、何ごとも丸く収めるソツのない政治家として人望を得る。
 与党UMP はここ数カ月間、社会党の予備選挙がマスコミを独占したことに腹を立て、すかさず反撃戦を開始。閣僚にもなったことのない経験不足の「軟弱な候補」が、サルコジ大統領がEU諸国を相手にメルケル独首相と奮闘するギリシャ・金融問題に対しどれほど闘えるか、予備選挙候補6人の対立こそ党内分裂の証と与党はこぞって反撃に出る。来年4 月の大統領選までオランド候補をまな板の上にのせてのこきおろしと、右派には「非現実的」な社会党公約への不安を保守系市民にかき立てる選挙戦をくり広げるのでは。(君)