「Cherche un homme beau… 求む、美しい男性…」、「Cherche un garde-chasse, ni beau ni laid mais doté d’un membre efficace… 求む、美しくも醜くもない代わりによく動く肢体を備えた密猟監視人」。求人広告という形式で51人の女性が求める51人の男性像が、詩人&小説家&劇作家のルネ・ド・オバルディア(1918-)により2006年に連詩として発表された。それを戯曲化したのが本舞台である。
オフィス、寝室、診療室、映画館、船の上…女2人男2人が歌いながら演じながら場面を次々と展開させる。fantasmeとは、空想の産物あるいは幻想という意味を持つ言葉である。女性たちが思い描く男性像は幻想なのか? それとも現実となりうるのか? 「理想」の男性とは一体どんな男性? 本当に存在するの? なにはともあれ、ド・オバルディアのテキストをまずは楽しみたい。よいテキストというのは耳に心地よく、しかも音楽のようにリズムを刻む。ユーモアたっぷりで語彙が豊か、あちこちで踏まれる韻や言葉遊びを聞きながらフランス語はやはり美しい言語だなぁ…と感心する。
テキストの素晴らしさに加えて、本戯曲にはシャンソン、タンゴ、ジャズ、ラップなど、場面ごとにピアノとアコーデオンの伴奏と、役者たちの均衡のとれた歌声が奏でる音楽がある。「私は求める男を結局見つけられなかった…」とエンディングで嘆息する女たち。理想は高く、というけれど高すぎるのもいけませんか? ふむ。 音楽はリオネル・プリヴァ、演出はピエール・ジャクモン、素晴らしい4人の役者と2人の伴奏者に大きな拍手を贈りたい。10月22日迄。(海)
Théâtre 14 Jean-Marie Serreau :
20 av. Marc Sangnier 14e 01.4545.4977
火金土20h30、水木19h、土マチネ16h。6€-25€