チーズとワインの相性⑤

 表面が、塩水、地方によってはビールなどで洗われながら熟成されるウォッシュタイプのチーズは、においは古漬けを思わせるようなにおいだが、みごとに熟成された身は、とろけるようにクリーミーでこくがある。さあ、どんなワインを選ぼう?
 最初はノルマンディー地方の名品、リヴァロ。形がくずれるのを防ぐためにlaicheという草のヒモが2本ほど巻いてあるのですぐにわかる。よく熟したものは、表面がちょっとぬるぬるして、においはもろクサヤ。とろけるような身はこくが深い。軽い赤では負けてしまう。エルミタージュのようなタンニンが強いコット・デュ・ローヌの赤などがほしい。同地方のポン・レヴェックは身に弾力があり、どちらかというと食べやすい方。ワインはロワール川沿岸のシノンのようなフルーティさを残した赤やボージョレ地方のモルゴンはどうだろう。 
 ベルギー国境近くで作られ、アンリ4世など歴代の王にも愛好されたというマロワル。ビールで洗われたものもあり、地元の人は度数の強いビールで食べる。同地方で作られているgenièvreと呼ばれるジンも合うが、ワインならコット・デュ・ローヌやミネルヴォワのこくのある赤。
 そしてアルザス地方のおなじみマンステール(ロレーヌ地方ではジェロメという)。においさえ気にならなければ、クリーミーさが濃い。ワインは同地方の香り高い白、ゲヴェルツトラミネールやリースリング。白がいやな人はボルドーのミレジメなどを開けましょう。
 ブリヤ=サヴァランが「チーズの王様」とたたえ、ナポレオンがことのほか好んだというブルゴーニュ地方のエポワス。ブルゴーニュ地方のマール酒(イタリアのグラッパに近い)で洗われるだけあって、そのトロトロっとしたおいしさは比類ない。せっかくこんな高いチーズを買ったんだから、ワインもブルゴーニュの、飲みごろになった赤ですね。(真)