アブダビで5月9日に開催された国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」で、再生可能エネルギーが今後順調に発展していけば、2050年には世界のエネルギーの最高77%を供給可能であるとの報告書が発表された。
実現すれば、温室効果ガスの排出が3分の2に削減できるそうだが、これは最も楽観的なシナリオの場合であり、現実的な数字は27%だとする声もある。現時点では、太陽光、風力・水力、バイオマスを利用する再生可能エネルギーは世界の消費エネルギーの13%を供給(石油など化石燃料が85%、原子力は2%)。専門家によると、再生可能エネルギー発電の設備投資は今後2020年までに1兆4千億〜5兆1千億ドルかかるという。フランスを含む欧州諸国が太陽光発電設備への補助金を減らし、その電力の買い上げ価格を引き下げている現状では、まず最良のシナリオの実現にはほど遠いだろう。しかし、福島原発問題がエネルギー供給のあり方への一つの方向付けを示したことも考え合わせると、各国政府が長期的視野に立ったエネルギー政策を進めることを期待したい。(し)