時は16世紀のはじめ、スペインの君主カルロス1世の脅威を憂え、オスマン帝国と同盟を結ぼうと密偵を送るフランス王、フランソワ1世。その重要な任務を負わされたのがフロリモンという騎士だった…。
本舞台はこの単純なストーリーを追いながら進んでいく。ただ、セバスチャン・アゾパルディという、10年前ほどから私が注目する若い作家&演出家(自ら出演も)の手にかかると、時代考証はさておき、山あり谷あり、ギャグ、ギャグそしてギャグの連続で、私たち観客は腹をよじって笑うほかない。
生き生きと飛び回る5人の役者の一挙一動に笑いながら、この手の笑いというのは万国共通だなあ、子供の時にテレビで観たギャグに似ているなあ…と感じていた。それは私たちが生きている社会の批評であったり、ラジオやテレビ、そして新聞で知る最新のニュースであったり、テレビ番組や映画のパロディであったり…古典劇もいいけれど、こういう「今」を常に取り入れながら観客を喜ばせるのも舞台を作る側にとっては醍醐味(だいごみ)なのだろう。舞台は生き物、日々変わっていく。今日のギャグは、明日になればまた別のギャグと化しているに違いない。
かくして決してかっこいい!とは言えない騎士フロリモンは、王から授かった使命を果たすためにオスマン帝国の首都イスタンブールに到着する。スペインが送り込んだスパイたちがやっきになって奪おうとした、フランス王自ら封印をした書簡はどこに?最後の「落ち」なのでここで明かすのは控えるけれど、パリ、ローマ、イスタンブールまでの珍道中にとにかく最後まで笑わされる。(海)火-土21H30、土17h。10-28€。
Splendid
Adresse : 48 rue Fbg St-Martin, 75010 parisTEL : 01.4208.2193
火-土21H30、土17h。