クロスカントリースキーにはゆとり感がある。
クロスカントリースキー ski de fondには、スピードに乗って滑降するのが快感なアルペンスキーとは違う、白銀の世界にゆっくりゆったり身をゆだねる楽しさがある。競技スポーツでもあるが、早ければよいってものでもない。雪上を滑りながら散歩する感覚かな。
スキーの板はアルペンの板に比べると夢のように軽く細い。裏面は逆行しないようにうろこ状の加工がしてある。靴もすごく軽い! スニーカーのつま先にカチンとスキーと連結する金具が付いているが、かかとはまったくフリー。アルペンに慣れている人にはこれがちょい不安。
まずは2本のスキー跡(溝)が引いてあるコースで練習することにした。すり足で歩く。後足のかかとが自然に上がるが、蹴って進むのではなく、体重を前足にかける感じで前進。だから姿勢はちょい前のめりな感じになる。ストックは、手を振りながら歩く感覚で使う。緩い坂はそのまま歩いて上れる。坂が急になったら、足をVに開いて内側のエッジを使って小股(また)で上る。下り坂は、軽くひざを曲げ背中も丸める感じで身を任せる(直滑降)。ストックは後ろ向きに握って宙に浮かせ使わない。傾斜がなくなれば、そのうち自然に止まる。急斜面でスピードが出て恐くなったら、足を八の字に拡げて(プルーク/ボーゲン)スピードを調整。以上が基本かな。
初心者は半日くらいインストラクターmoniteurに教わって(1時間2人まで34€、3時間2人まで93€)、あと半日はコースで自習するのがいいだろう。それで自信がついたら、翌日は遠出の林間コース(初心者は緑色のコース)に挑戦してクロスカントリースキーの楽しみを実感、できるかな? オリンピックの実況でもおなじみの、さっそうとダイナミックに雪面を走行するスケーティング走法というのもあるが、これは次のステップだ。
ラ・クルザには〈Confins〉と〈Beauregard〉というクロスカントリー専門コース(全長0.5Kmから10Kmまでさまざま)が整備されている。入場料は1日券7€ (子供半額)、スキーと靴のレンタル料は1日17€ と安い。アルペンだと、高くついた元手を取り戻そうと滑りまくる傾向があるが、クロスカントリースキーの方にはゆとり感がある。
このski de fond は、今フランスでも日本でも静かなブームを呼んでいる。筆者がトライした〈Confins〉のコースでは地元の選手が練習をしていた。私たちが滞在した翌週末には、ここでノルディックスキーの世界選手権も開かれた。是非一度試してみて下さい。(吉)
コースの脇にチーズ製造所。
クロスカントリースキー用の靴。つま先にカチンとスキーと連結する金具が付いている。
クロスカントリー専用スキー。裏面に逆行しないようにうろこ状の加工がしてある。
出発点。
入場料を払う。