サントノレ通りの高級ランジェリー店に勤めるダシャさんと、企業の社員食堂を運営するガエタンさん。2007年、〈After Work〉でめぐり会った。これは毎週木曜の晩、勤め帰りの独身者たちが指定されたクラブに集まり、お酒を飲んだりダンスして交流する出会いの場。「まるで小悪魔的魅力と妖精の愛らしさを合わせ持つ」ような彼女に心奪われたガエタンさん。「その後、ルーヴルでシャンパンとマカロンのソワレに招いたんだ」と続ける。美術館にアルコールやお菓子を持ち込み? と驚くと、さらっと言ってのける。「クラブ(語尾を上げるほう)の名前だよ!」。とにかくその晩以来、二人の炎は燃え上がる。彼女は離婚を経験し、彼は長年の同棲を解消してしばらく経った後だった。モスクワ出身のロシア人ダシャさんと、ノルマンディー地方ルーアン出身のガエタンさんが、出会いから2年後、「運命の相手」としてパクス協定した決め手は何だったのか? 多くを語らない二人には、共通する秘めごともあるのだろう。
6歳からフランス語に親しんだダシャさんは22歳で渡仏。カルチャーショックはなかったという。ガエタンさんはこう語る。「ノルマンディー人とロシア人はハートが似ている」。無口で一見無愛想だが、いったん心を許したら、すべてを受け入れるところがそっくりだそう。「今では彼女の両親を自分の親のように感じるよ。はじめ、僕を受け入れてもらうため、食卓でウォッカを一気飲みする必要があった。お酒を酌みかわすことで、親愛の情が深まるのがロシア風。この習慣に溶け込んで、やっと家族に認められたんだ」。一見、万事快調。そんな二人の、今一番の関心事は親になること。来年一月の、第一子の誕生を待ち望んでいる。大きなおなかのダシャさんは「40歳前には結婚したいわ。その時は証人を娘に頼むつもりよ」と幸せそうな笑みを見せた。彼はカトリック、彼女はロシア正教の信者であり、結婚式は19区ビュットショーモン近くのロシア教会Eglise Saint-Sergeで行いたいという。永遠のハッピーエンドを願うばかりだ。(咲)
ぬいぐるみの名前はMouton Rebelle(反抗的な羊)。
頑固なダシャさんといつも主導権を握りたがるガエタンさんの象徴だ。
これから相手に期待したいことは?
「信頼しあって、実り多き人生を共に過ごすこと」(ダ)
「妖精が驚きに満ちた毎日を届けてくれますように!」(ガ)
前回のバカンスは?
「9月、ダシャの両親がモスクワから車で来仏し、エトルタへ家族旅行。ノルマンディーの素晴らしい一面を見せたよ」(ガ)
夢のバカンスは?
「イタリアに恋しちゃったの。ベネチアの次はトスカーナに行きたいわ」 (ダ)「ボラボラ島にも行ってみたいな」 (ガ)
最近、二人で見に行った映画は?
『Fair Game』。主演のナオミ・ワッツもショーン・ペンも素敵だったわ」(ダ)
お気に入りのレストランは?
L’Eté en Pente Douce (23 rue Muller 18e 01. 4264.0267)
「モンマルトルの夏の夜が最高。テラスでの食事が気に入っているわ」(ダ)「料理だって悪くないんだ。カモの粗塩包み焼きはおすすめだよ」(ガ)
カップルとしての満足度を5つ星でいうと?
★★★★★「好きになったらすべてを与えるわ」(ダ)
★★★★★「彼女と同じフィロソフィーだよ」(ガ)