財政危機に陥っているアイルランド政府は11月21日、国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)、欧州中央銀行に支援を求め、EUは500億ユーロの支援を約束した。IMF分も合わせると支援は900億ユーロ規模になる。金融機関の不良債権がらみで国内総生産の34%に上る財政赤字を抱える同国政府は、向こう4年間で150億ユーロの緊縮財政策を打ち出した。緊縮財政策は、公務員雇用削減、失業手当や家族手当、最低賃金の引下げなどを含む100億ユーロの歳出削減、所得税など増税によって50億ユーロの歳入増を盛り込む。
労働者や国民を直撃する政策に、労組は内閣総辞職を要求しており、「市民不服従」を呼びかけて徹底抗戦の構えだ。これまで法人税の安さ(ユーロ圏平均25.7%に対し、同国は12.5%)でグーグル、IBM、マイクロソフトなどIT関連を中心にグローバル企業を誘致してきた同国だが、こうした外資による雇用を維持するためにも、政府は法人税増税をしないと約束している。ギリシャに続くユーロ圏国の財政破綻。圏内の経済とユーロを守るために、加盟国はアイルランド救済に素早い判断を下したようだ。(し)