フランスの薬局に出かけて驚くことの一つが、目薬の種類の少ないことだ。それにショーウィンドーにも、日本で見られるような目薬の広告がほとんどない。それでも、「疲れ目に効く目薬が欲しい」と言ったら、「目が疲れたles yeux fatigués!?」とビックリされて、「目やにがでるのか?」と確認され、ビックリしたのはこちらの方だ。上手に説明できないままとりあえず「Oui」と答えてしまったら、一つの箱を持ってきて、まだ買うとも言っていないうちから箱を開け、説明書を出して、朝晩1回ずつさせばいいと解説してくれた。日本の目薬のように、一つの容器に入っているのではなく、10個のミニカプセルに分かれていて、一つずつちぎって開けて、目にさすので、合理的で清潔でかえっていいかなと思って早速さしてみた。ところが日本の目薬特有の、しみる感じがまったくなく、目がすっきりせず、ちっとも効き目が感じられなかった。
それで、この話をフランスの友人たちに話してみたが、やっぱり、「目が疲れるというのはどういうこと?」。「疲れ目という意味がわからない」と言われてしまった。コンタクトをしている友人ですら目薬をさしたことがないという。そういえば、目薬のTVコマーシャルなども見たことがない。結局そんなふうに目が疲れたと感じた時は、涙と同じ成分の目薬〈Larmes artificielles〉を買うといいと教えてもらったものの、目薬よりブルーベリーを食べた方がいいよとアドバイスもされた。
そんな折も折、日本の友人からパリにしか売っていないある目薬を買ってきてと頼まれ再び薬局へ。興味シンシンでその目薬の効用を聞いてみると、どうやら白目のくすみをとって潤んだひとみにしてくれるのだとか。この種の目薬には植物成分だけのものもあるのだという。「白目はより白くなり、目に輝きを与えるから大切! スーパーモデルも愛用よ」と薬局の人がニッッコリと教えてくれた。(有)