Valerie (40)/Bertrand (37) 来年は二人揃って、 京都のヴィラ九条山へ。

 「僕たちは同じ階層(世界)にいながら職業は違う」。統計を取ったわけではないが、フランスでは同業者間の恋愛が多い。似たような環境の人が、同じ興味を分かち合う。ビデオ作家のヴァレリー・ムレジャンさんと哲学者のベルトラン・シェフェールさんは、巡り会うべくして巡り会った。10年前、某出版社の廊下ですれ違い、自然と言葉を交わす仲に。当時、小説を出版予定だった彼女と、ルネサンス期の哲学本を翻訳していた彼。その後、各自小説を出版しながら、短篇映画のシナリオを共同執筆。「労働は人生の一部で、それを共有することは人生を分かち合うこと」とべルトランさん。「簡潔なのに終わったら3~4倍の厚みを持つもの。人生の段階の奥行きに興味があるんだ」と続ける。ヴァレリーさんの作品には、必ずありきたりな行動のパラドクスが描かれる。アンチ感情派。「深さ」を求めてルネサンスまでさかのぼる彼と、「形」を変えて人間考察を続ける彼女。
 12区のアリーグル広場近くの住まいは、だだっ広いサロンの両端に、ぽつんと各自の机がある。仕事場兼自宅なのに、まるで生活感がなく殺風景な印象。共にタイトなシャツにパンツの装い、ミニマルなアニエス・ベーの世界から抜け出てきたような二人だ。「平日、週末というような時間的感覚はないわ。夜の外出?  展覧会や観劇、映画に行くのは、日常の延長よ」とヴァレリーさん。共に物静か。プライベートな質問はさらっとかわす。ありふれた日常には興味がない様子だ。二人が雄弁に語るのは、仕事やセオリー。同じ方向性をもったインテリ同士だが、7年間の共同生活でケンカしたのは4回だけ。
 偶然ながら二人の道のりは交差している。7年前、ローマ賞を受賞しヴィラ・メディシスに滞在したヴァレリーさん、今年はベルトランさんが選ばれた。そして来年、二人揃って京都のヴィラ九条山に派遣される。共に新進芸術家を海外に送り、創作活動を助ける制度。京都では清少納言を研究し、二人で映画にする予定だ。(咲)

これから相手に期待したいことは?
「なんて難しい質問!  答えを出すには一生かかるよ」(ベ)
「何かを期待するなんてばかげているわ。二人でかなえたい夢なら…子供と映画を作ること」(ヴァ)

前回のバカンスは? 
「8月、カマルグの友人宅に1週間。遅くまで語り合ったり、読書したり、ハシバミを割ったり、イチジクを摘んだわ」(ヴァ)

夢のバカンスは?
「いくら夢であってもバカンスという時間の感覚がいただけないわ」(ヴァ)「何かプロジェクトを持って、どこかへ」(ベ)

最近、二人で出かけたイベントは?
「1930年代炭鉱夫から画家になったオーギュスタン・ルサージュの展覧会。アールデコのようなモチーフが気に入った」(ベ)

お気に入りのレストランは?
Caffè dei Cioppi(159 rue du Fbg Saint-Antoine 12e 01.4346.1014)「近所の小さなイタリア料理店」(ヴァ)

カップルとしての満足度を5つ星でいうと?
★★★★★ ちょっと顔を見合わせて即答。


一緒に暮らし始めて7年、毎年それぞれの誕生日に手作りの本を贈りあっている。