ヴァンダンジュ初体験。

「ブドウだけから造る ワインにしたい」


アンジェとナントの中間くらいで造られているワイン、コトーダンスニのブドウ畑は、およそ250ヘクタールでロワール川の右岸に広がっている。その一角でジャック・カロジェさんは、1997年以来、有機栽培でブドウを生産してワインを造っている。90年代に父親から受け継いだ農家を、有機栽培に転換すると同時にブドウ酒造り一本に絞った。「これまでの農法でブドウの木が傷んできたのが耐えられなかったんだ。といっても祖父の時代の農法に戻っただけだよ」。ミュスカデ、ガメー、カベルネ・ソヴィニョン、シュナンなどのブドウを栽培している、このDomaine La Paonnerieは5種類のワインを持つ。
ジャックさんの畑では9月21日からブドウの収穫vendangeが始まった。ほぼ3週間、およそ20人が働く。ブドウの品種によっては、白ワイン用のシュナン種のように晩熟のものもあって、11月中旬まで収穫は続くそうだ。「ブドウだけから造るワインを」と彼が言うのは、堆肥などを与えて育てたブドウで、できるだけ添加物を使わないブドウ酒を作りたいからだ。「天候に恵まれた年のワインは添加物などを加えなくても10年以上保存できるし、うまさは増すだけだ」
私たちは収穫開始から一週間たった週末に、ヴァンダンジュ体験に出かけた。ジャックさんとアニエスさんの家には、隣人や、友人とその子供たち、そのまた友人らが集まってきた。キッチンの大テーブルでコーヒーを一杯飲んでから畑へ。いつの間にか子供たちも20人くらいになっている。子供たちはトラクターの荷台に乗り、歓喜の声を響かせながら畑へ移動。
ハサミとかごを持っていざブドウの木の前に。それぞれしゃがんだり、立ったり、腰を曲げたり…自分に合った姿勢でブドウを一房一房手に取ってはハサミで切り取る。ブドウの房は、上から下にぶら下がっているものと思っていたが、枝ぶりの関係で下から天に向かってなっているブドウもあることを知る。「2年続いて不作だったけれど、今年のブドウは質も量も申し分ない!」とジャックさんの顔に笑顔が浮かんだ。
そんなふうに「収穫体験」を味わっていると、待ちに待った休憩時間!  アニエスさんが、冷えたロゼやジュースを運んできてくれた。乾杯!  畑の甘いブドウをつまみにする人もいる。
また畑へ戻り、収穫作業が続いた。しばらくすると、足はしびれ、ヒザ関節はきしみ、熱い日差しでたちくらみ状態になったり、と重労働だ。ようやくきょうの目標を達成。ジャックさんはブドウのうねとうねの間を歩いて、切り残されたブドウの房を見つけては、大切そうに切り取っている。この後、ブドウはカーヴに運ばれ、熟成用の巨大なタンクに空けられる。
夜は、試飲・販売の広いブティックに収穫に参加した人など40人くらいが集まった。カロジェ家の人々が腕をふるった色とりどりのごちそうがテーブルいっぱいに並ぶ。おばあさんが用意してくれたという田舎風テリーヌもある。ジャックさんが自分用にと大切にとっておかれた、ラベルなしの名酒の栓がどんどん抜かれていく。ブドウの絞りカスが肥料として与えられたトマトのサラダがおいしい!  収穫の宴もたけなわになったところで、上機嫌のジャックさんと、アニエスさんの芝居仕立ての歌が始まった。(清)


「昨年、一昨年と天候不順でブドウがうまく育たずほとんどワインが造れなかったせいもあって、今年のヴァンダンジュは心がはずんでいるんだ」

 


収穫前にブドウの切り方を指示する。

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