Brahim Nait-Balk– 「ゲイにとって郊外団地はろう獄だ」

 ゲイであることを明らかにし、同性愛者の権利を求める運動の先駆者となり、ゲイとして初めてサンフランシスコ市の市会議員に当選したが、1978年に市長とともに殺されたハーベイ・ミルク。彼の闘いを描いたガス・ヴァン・サントの『ミルク』は、主役を演じたショーン・ペンがアカデミー主演男優賞を受賞したこともあってか、多くの観客を集めている。
 フランスでもドラノエ・パリ市長などカミングアウトした政治家も出てきているし、毎年パリで開催されるゲイプライドには数十万人が参加している。しかし、日常生活では相変わらず、ゲイたちは、ちょう笑の的になったり差別的発言を浴びたりしているのが現状のようだ。
 20年以上、セーヌ・サンドニ県のオールネ・ス・ボワ市の団地に住んでいるブラヒム・ナイット=バルクさん(45)が、『団地の中の同性愛者』という本を出版。団地の中でも、家族の中でも、イスラームという宗教にとっても「同性愛はのろわれていて、私は囚人だった」。ゲイであることを示すことは、家族にとっての「恥」…「これまでの人生、私はゲイではないことをみんなに信じ込ませてきた。普通のフランス人でゲイだったらなあ、と夢見ていたんだ」。20年前には団地の若者たちに、ゲイであることを見抜かれ、集団で犯されたこともある。
 この本が出版されて、テレビのトークショーなどにゲストとして招かれたりするが、涙を抑えられないことが多い。「アラブ人として人種差別されるより、〈きたないオカマ〉扱いを受けることの方が辛い」。現在、ブラヒムさんがゲイであることを知っている母と住んでいる。(真)

Calmann Lévy社発行
12€