昔々のパリの街並みを思い描きながら歴史散歩をしてみよう。
マレ地区とサン・ルイ島をすっぽりおおうパリ4区。ポン・マリー駅(7号線)は、その両方に向かうのに便利な駅だ。本日、ここから向かうのは、中世のお城といった風情の建物、サンス館。内部はフォルネ図書館となっており、デザインや建築、現代美術関連の資料、カタログなどの蔵書が豊富なことで有名だ。雑誌の閲覧ルームもあるので、気軽に利用できるのがいい。ここには、日本でも知られるサヴィニャックやコラン、モルヴァンなどの古いポスターも多く保存されており、しばしば行われる展覧会は、ファンなら必見ものだ。
Hôtel de Sens 建物正面左上には、1830年7月28日に放たれた砲弾が埋め込まれたまま今も残る。
ミシェル・カレーズの展覧会。
フランソワ・ミロン通りの46番地でゴシック様式の地下室が見学できると聞いて訪ねてみた。建物の入口には、Paris Historiqueとあり、ここは〈歴史的パリ保存保全協会〉のボランティアたちの活動の場でもある。スタッフのひとりが、オワーズ県ウルスカン修道院宿舎だった13世紀ごろの地下室と、木組建築が残る2階を案内してくれた。改めて、パリの歴史をひしひしと感じるひとときだった。
すぐ横のジョフロワ・ラニエ通りを入ると、ショア記念館がある。無名ユダヤ人犠牲者に捧げられた地下礼拝堂の他、地下2階の常設展が見学できる。ぼう大な資料が、非常に見やすい形で展示されているので、ゆっくり時間をかけて見ていきたい。展示の最後にあるフランスから移送された3000人の子供たちのポートレートの壁が圧巻だ。
Cypte de Mémorial de la Shoah
歴史的散歩のあとは、久しぶりにぶらぶらとサン・ルイ島を歩く。ただし、サン・ルイ島を散策するなら、休業している店が多い月曜や火曜は避けた方が無難だ。(里)
Quai de l’Hôtel de Ville