2008年は終ってはいないが、今年はダニー・ブーンの年だったといってよさそうだ。彼の主演&監督作『Bienvenue chez les Ch’tis』のタイタニック的メガヒット。観客数2千万人越えは、フランス人の約3人に1人が見た計算に。ここでフランスが誇る理想的な「サンパ男」、ブーンについて、おさらいしてみよう。
本名はダニエル・アミドゥー。もちろん出身はフランス北部、アムマンティエール。もともとユーモリスト(お笑い芸人)としてデビューし、90年代初期からワンマンショーを全国で成功させてきた。ライブでも「北部ネタ」は十八番の一つ。90年代半ばに映画界に進出。『戦場のアリア』、『La Doublure』、『ぼくの大切なともだち』などに出演。2006年には監督業にも手を染め、本人主演で『La Maison du Bonheur』を発表。社会現象となった『Bienvenue chez les Ch’tis』は、監督第2作に当たる。「僕はシンプルな人々についての話を語る。それは僕の家、家族、子供時代であり、僕はそこで育った。その意味で、僕は北部の(マルセル・)パニョルだ」。
今年7月には、イングリッド・ベタンクールらとともに、レジオン・ドヌール勲章も受賞。2009年も主演作が目白押しだが、特にジャン=ピエール・ジュネ監督作『Micmacs à tire-larigot』の主演に期待がかかる。(瑞)