金融危機の余波…

 米国で数百万所帯をどん底に陥れたサブプライム住宅ローン不良資産・担保証券が生んだ金融バブル崩壊で、リーマン・ブラザーズを始め金融大手が将棋倒れ。米政府の7千億ドル投入の金融安定化法案を下院が拒否後、上院が修正案採択、下院通過と混迷の中、30年代世界大恐慌以来の金融危機の嵐は英・独・仏・ベルギー・オランダなども襲い、各国で破産寸前の金融大手の一部国有化や緊急増資、合併が相次ぐ。
 金融危機とは別にフランスでは、まず自動車業界が不況のため人員削減に踏み切る。ルノーは国内外で早期退職者を含め6千人の削減を発表。不動産業界も住宅ローンや融資が抑制され、新築住宅の売れ行きは上半期で前年比34%減。資金不足で工事を中止する建設業者や下請業者の倒産、払い込んだ前金を取り戻せない購入申込者も続出。多分野で不況が表面化しており、8月だけで失業者が一挙に4万人増(企業はまず派遣社員を削減)。これまでの失業率7.2%が8%に達すると予想されている。
 ユーロに換わって以来、フランス人の大半が購買力の低下を嘆いている。それだけでなく90年代からパートや臨時雇いへの社会保障費軽減策でこの種の雇用人口が増加するなかで不安が募る一方。 例えばハイパーマーケット(大スーパー)などのレジ係の女性のほとんどはパートで給与は500€~800€。食品や光熱費の値上がりで家賃も払えない母子家庭や年金生活者が増えており、慈善団体が配付する無料食品の利用者が年々増加。またスーパーの前で夕方5時ごろ、賞味期限切れ食品や腐りかけた果物や野菜を入れたゴミ箱が出されるのを待っている人を最近よく見かける。主婦や定年者が多く、われ勝ちにヨーグルトや菓子類、サラダ菜などをゴミ箱から取り出している。期限切れ食品の配付は禁止されているので、ジャベル液をぶちまけるスーパーもあるというが。
 失業率の統計にも含まれない無職者やホームレス、貧困生活者への復帰最低収入手当RMI(1人448€)は、1988年ロカール政権が制定した。カップルで2人分受給し、住居手当も受けてどうにか暮らしているRMI受給者は約120万人。〈貧困〉というカテゴリーに入る所帯は約200万戸。彼らの生活水準は1人880€、2人1320€(+子供1人1580€)程度。イルシュ高等弁務官が議会に提出した連帯就業手当RSA制度は、RMIや片親手当APIを廃止し、週数時間でもパートで得た収入にRSAを上乗せして就労意欲が湧くようにさせるシステムだ。その歳出15億ユーロは定期預金や貯蓄保険の利子、配当金などに1.1%課税し捻出する。同種の援助策はすでに34県で実施されている。
 貧富差が拡大するなかで庶民は、70年代のインフレ12%、93年の失業率12%を振り返りながら1年、2年先の生活に不安を抱く。(君)

フランスの株式市場CAC40が9.04%暴落した翌日の10月7日付リベラシオン紙の表紙。

 

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