世界的なハーモニカ奏者ジャン=ジャック・ミルトー(以下J=Jと略)さんと、彼の広報で、公私共にわたってパートナーのマリー・ラメドーさん。18年前に出会ってから、世界76カ国を演奏旅行した。「公演中、J=Jは音楽だけに全神経を集中して、私はミュージシャン全員の世話好きな母親役maman pouleになりきるの」。不安定な音楽の世界で、落ち着いた恋愛関係を維持していくのは難しいといわれるが。「僕にとっては、日常生活がこの女性とぴったり合う。それが何よりも重要なことだよ」。いっけん朴訥な感じで、穏やかな優しさがにじみでるJ=Jさん。以前結婚した経験があり、今は成人した息子と孫がいる。40歳を過ぎてからの、この出会いは「初めから本当にいい選択だと分かっていた」。一方、「いつも片足だけつっこんで、もう片方を外に残しておく、曖昧な状況が多かったわ」と笑うマリーさんは、目尻の小皺にも豊かな人間味を感じさせる魅力的な女性だ。 「私にとっては、互いの領域を尊重できる相手じゃないと、一秒たりとも一緒に暮らせない。初めから彼には私の領域に侵入される心配がなかった。こんな関係は初めてよ」。14年前、ナシオンにそれぞれの仕事部屋がついたロフトを借り、2年前にはそこを購入した。普段の暮らしは「彼女は料理が苦手だから食事の準備は僕の係。いつも夜遅くまでパソコンに向かう彼女より一足先に、時計の針が12時を回ったら休むんだ。そして翌朝ごはんの支度をする」。 そんな二人に、結婚についてたずねてみた。「私にとって結婚は恋愛の質をはかる尺度じゃないわ」。ではプロポーズされたことは? の質問に「あったかしら? 一度私の親を通して話を持ちかけた人がいたけど、よくやったものね」。「もし僕が申し込んでいたら?」、「もちろんノンと答えていたでしょうけど」(笑)。 この夏は、J=Jさんの7歳になる孫のマテオと休暇を過ごした。「母になったことはないけど、それを飛び越えておばあちゃんになっちゃったの。片足だけの習慣は今でも健在なのね」(咲) |
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これから相手に期待したいことは? 「好きな女性と一緒にいられて好きな仕事をしている。これ以上何を求めるっていうんだい?」(J=J) 「この関係が続くのを願うだけよ」(マ)
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