ミラがダンスを習い始めた。

 ようやくミラにも新しい友だちができ、幼稚園にごねずに通うようになった。現在の学校は半数がアジア・アフリカ系の子供が通う庶民的な雰囲気。私本人は小さいころ北海道に住んでおり、子供心に外国人は地球外生物のような存在だったが、ミラは幼い時からいろんな肌の色の子と自然に交流ができる環境にいられてうらやましく思う。
 新学期が始まりしばらくして、パリ8区のコンセルヴァトワールから入学許可の知らせが届いた。私たちは12区に住んでいるのでダメもとで申し込んでいたのだが、「定員が急に一人分空いたのでどうぞ」という。前々からミラは「ダンスが習いたい」と訴えていたので渡りに船。そして週2回だけ通い始めたのだが、今度はスノッブな雰囲気に圧倒されてしまった。子供たちはみなシャンゼリゼ近くの一等地に住んでいるのだろう、着ている洋服の素材からして違う。まあ、ミラにはどこの環境にいても物おじしないたくましい人間になってほしいので、12区の庶民的な雰囲気と8区のスノッブな雰囲気を両方肌で知っているのも良いのではと思う。
 ただ問題は、週2回私が遠くまで送り迎えをしなければならないことだ。正直面倒だし時間がとられるのが辛い。今さらだが子育ては大変だ。思わずミラに、「早く大きくなってくれない?」と愚痴ってみたら、ミラはニヤッと笑い、「早くは大きくなれないの」と答えた。(瑞)

●秋は映画の季節
 水曜日は、何も習いごとをしていない娘と一緒に、朝はジョギング、自転車、縄跳び、午後はお出かけ、と決めている。公園での散策もいいけれど秋も深まってきて、なかなか戸外で午後いっぱいを過ごすわけにもいかず、映画好きな私の影響で、大きなスクリーンのあるあの暗闇の世界に自然と足が向いてしまう。娘の父親は「不健康だ!」と非難の目を向けるけれど、この秋はよい作品が目白押し(ちょっと大袈裟かな?)なのでまあ仕方がない。
 最近観に行ってよかったのは、修復されて再公開された『赤い風船 Le Ballon rouge』。20代以上のフランス人ならば必ず一度は観たことのある、アルベール・ラモリス監督が1956年に撮った名作だ。少年と赤い風船がパリの街、特にベルヴィル界隈をさまよう様子が印象に残る。同時に修復されたラモリス監督の『白い馬 Crin-Blanc』(1953)という、南仏カマルグを舞台にした少年と馬の触れ合いを描く作品も上映されている。
 アメリカ人のマシュー・ヴォーンが監督した『スターダスト Stardust, le mystère de l’étoile』という作品も気に入った。イギリスを舞台に、憧れの彼女に「星」をプレゼントしたくて流星を追う青年が、流星の心を奪って永遠の美を得ようとする魔女たちや、玉座を狙う王子たちの紛争に巻き込まれ、しまいには「流星」と恋におちる。しかも本人は知らなかったのだけれど、青年は王家の跡取りだった…という冒険たっぷりのラブストーリー。ロバート・デニーロ、ミシェル・ファイファーなど名優が、脇役で好演しているのもうれしい。これからクリスマス休暇にかけ、ディズニー製作の『魔法にかけられて Il était une fois』を代表に、まだまだ子供向けの映画作品が次々と公開される。ところで私たち母娘が次に狙っているのは、CDで話を繰り返し聞いて、俗語まで憶えてしまったレイモン・クノー原作、ルイ・マル監督のリバイバル公開作品『地下鉄のザジ Zazie dans le métro』かな?(海)

 

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