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●狩猟と人間の関係を考えよう マレ地区にあるMusee de la chasse et de la nature(狩猟と自然博物館)が工事を終え新装オープン。この博物館は、狩猟好きで動物愛護家のフランソワ・ソミエ夫妻が築いた財団の収集品を基に、動物の剥製、猟銃や狩猟用小物、狩猟をテーマとしたタピスリーや絵画、版画、彫刻、動物をモチーフにした陶器などの工芸品に加え、現代美術作家たちの作品など豊かなコレクションを誇っている。 大きな階段を上ると白熊の剥製が「ようこそ」と迎えてくれる。一緒に行った娘、その友だちたちの「わー!」という歓声で見学が始まる。奇妙なオブジェを集めた薄暗い小展示室、壁中がデポルトやシャルダンの絵で飾られている広い部屋、cabine(小部屋)の次にはsalon(広間)というふうに、17世紀の館の構造が展示にアクセントをつけている。 こうして見ていくと、狩猟の形態も変化してきたことがわかる。「生き延びる」ための狩りが「趣味と娯楽のため」になるのはやはりルネサンス時期だろうか。狩猟をテーマにした絵画作品が登場し始めるのはそのころからだ。 狼、猪、犬、馬など動物別にテーマを与えられた展示室にある小さなタンスの引き出しを開けると、中には各動物の習性の説明、おとぎ話、糞、足跡、動物の映像などの情報が詰まっていて、幼い子供の好奇心を五感からくすぐる工夫がされている。軍事博物館からの寄贈品を加えた猟銃コレクションの部屋も圧巻で、娘の友人ははじめ「怖い!」と顔を背けていたのに、しまいにはほどこされた細工の繊細な美しさに見惚れていた。 人間は自然の中で常に動物たちと共存してきた。そのことを忘れず、子供たちにも楽しく見学してもらいたい。(海) Musee de la chasse et de la nature : 62 rue des Archives 3e 01.5301.9240 火-日11-18h、月休。 3€-6€(12歳以下は無料)。 |
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