OVNI 598 : 2006/11/1

昨年10月27日、パリ北郊外セーヌ・サンドニ県クリシー・ス・ボア市で、警官に追われ電力公社の変圧施設に逃げ込んだ少年2人が感電死した事故をきっかけに若者たちの怒りが爆発。毎晩、数百台の車やバス、幼稚園や体育館、警察署など公共施設への放火・破壊行動が、他の都市郊外にまで広がった。あれから一年。クリシー・ス・ボワのクロード・ディラン市長(58)のインタビューが週刊誌〈レ・ザンロキュプティブル〉の10月10日号に掲載された。

「大都市郊外の若者というと、社会問題を抜きにして、犯罪率とか処罰とかしか取り上げられないが、これはサルコジ内務相の思うつぼだ。(…)本当の問題は社会の不平等だ。私は市長として、不平等とそれが生み出す暴力という二重の罰に苦しんでいる市民を守らなければならない。(…)私が社会を変えなければと政治を続けているのは、(パリ郊外の)フラン・モワザン団地の貧しい家庭の出身だからだ。私は幸いに小児科医になれたけれど、現在、郊外の若者たちの成功するチャンスははるかに少なくなっている。(…)昨年の暴動の後は、さまざまな市民団体が動いて、希望がかいま見えた。あれから一年、クリシー市の市民たちは裏切られたような気がしている。日常が何も変わっていないからだ。(…)国は学校の改築費用の20%を負担すると公約したけれど、最近になって予算がないと逃げてしまった。(…)この数カ月、町の中で怒りが高まっていることが感じられる。「あなたたちは手をこまねいているだけだ」と通りで若者たちに呼び止められることが多い。

クリシー・ス・ボワ市の人口は2万8000人。そのうちの47%が25歳以下の若者。失業率は23.5%で15歳から24歳の失業率はなんと32%に達する。市民一人当たりの1カ月の支出額は617€(フランス人平均は922€)。警察署の数は0!

10月24日、社会党の次期大統領選候補、ロワイヤル、ストロース=カーン、ファビウスの3氏が2回目のテレビ討論。
さまざまな社会問題の解決策をめぐって激論が交わされた。
●ホテル・レストランでも35時間労働へ
 国務院は10月18日、ホテル、カフェ、レストランの経営者側と3労組(FO、CFTC、CFE-CGC)が2004年に交わした週39時間労働に関する合意を無効とする判断を下した。これによってこの業界にも35時間制が適用される。同業界は、35時間制移行後も、例外的に週39時間労働が許可されており、2004年に有給休暇1週間追加の条件で39時間労働とする労使合意がなされた。35時間になると、追加有給はなくなり、超過勤務手当が付く。国務院に提訴したCGT、CFDTは35時間制への移行は雇用創出を促進すると歓迎。一方で同業界の39時間制を法令化しようとの与党側の動きもある。
●クリアストリーム疑惑で閣僚に事情聴取
 台湾へのフリゲート艦売却に絡んで不正手数料を受け取ったとされる政治家の偽リストが問題になったクリアストリーム疑惑で、ラファラン前首相は10月19日、予審判事の事情聴取を受けた。前首相はこの件をドヴィルパン首相(当時は外相)から2004年7月に告げられるまで全く知らなかったと証言。陰謀の被害者と主張しているアリオ=マリー国防相も近く聴取を受けることが決まり、ドヴィルパン首相も聴取を望んでいるという。
●ロワシー空港の荷物取扱い係が提訴
 ロワシー空港で働くイスラム教徒の荷物取扱い係6人は10月19日、仕事場への立ち入りを禁止されたことに対し、ポントワーズの行政裁判所に禁止措置の取り消しを求める訴えを起こした。同時に労組CFDTも信教による差別として提訴。サンドニ県庁は今月初め、数十人のイスラム教徒従業員から滑走路に近い税関関連のゾーンへアクセスするためのバッジを没収した。バッジなしでは仕事ができないため、解雇の手続きも進行中。同県副知事はテロ防止局の調査によって、テロ組織との関連が疑われたためにこの措置をとったと説明している。
●共産党ビュフェ氏が大統領選出馬へ一歩
 2007年4月に行われる大統領選に、共産党のマリー=ジョルジュ・ビュフェ書記長が「共産党も含めた反リベラル」代表として出馬することが、10月22日の党全国大会で決まった。党員投票による正式決定は11月中旬。ジョゼ・ボヴェ氏など他の反リベラル陣営との調整が残っており、最終決定は12月になる。一方、左翼急進党(PRG)は10月22日の臨時党大会で、大統領選に候補を擁立せず、社会党候補を支持すると決めた。同党のトビラ氏が立候補した2002年に左派の票が割れて、ジョスパン氏敗退の一因になった反省を踏まえた決定だ。
●障害者の娘を殺害した母に執行猶予刑
 セーヌ・マリティーム重罪院は10月24日、障害者である娘(当時41)を殺害した母親、レオニー・クルヴェル被告(80)に、執行猶予付き懲役2年の刑を言い渡した。被告は2004年に、目が不自由で半身不随、話せないという重度の障害を持ち、てんかんの発作を繰り返す娘を、「苦痛を見ていられない」と絞殺した。被告は自宅で寝たきりの娘の面倒を一人でみていた。検察は執行猶予付き懲役5年を求刑。
●トータルのナンバー2、取調べ
 イラク禁輸措置期間中に不正に原油を輸入した疑惑で、トータルグループのナンバー2で次期同グループ会長への就任が予定されている、クリストフ・ドマルジュリー社長(55)が10月19日、予審判事によって取り調べを受けた。同グループはイラクへの禁輸措置がとられていた1996~2003年に、仲介者を通して不正な経路でイラクの原油を購入していたとの疑いが持たれており、すでに数人の同グループ幹部が取り調べられている。