日本語を好きになってほしい。

 海外で子育てをする親にとって、言葉は大きな関心事の一つだ。先輩パパ・ママの中には、子供にあえて日本語を教えないという潔い人や、反対に日仏英のトリリンガルにしようと目論む志の高い人もいる。私の場合は、子供に母国語で話しかけることが気持ちの上で自然だったため、誕生以来そうしてきた。ジルは当然フランス語で話しかけるので、娘の日仏語の理解度は互角になっていた。
 だが託児所生活が始まり、日中は言語環境が仏語主体になったため、ミラの頭がフランス語優勢に傾いてきた。だからなるべく日本語に親しんでもらえるよう、童謡のCDや子供番組のDVDで歌って踊り、絵本の読み聞かせをするのが日課となった。子供の「もっと」の声に応え、出産で蓄えた脂肪に無理をきかせ踊り続けていると、子育ても立派なサービス業だと思い知る。
 童謡の歌詞を知るのに便利なサイト(www. interq.or.jp/japan/k3j/)もあり利用した。絵本はエスパス・ジャポンや日本人会の図書室で借りたり、日本人向け本屋やamazon、bk1などサイトを通して入手した。本選びには絵本ナビ(www.ehonnavi.net/home01.asp)というサイトが役立った。久々に足を踏み入れた絵本の世界は、私自身もその豊かさに心が踊るものだった。このまま楽しみながら、少しずつ娘が日本語好きになってくれればと願う。(瑞)

子供向けの演劇ながら、装置、衣装、照明もしっかりしている。
●Dragons et Merveilles
 子供向けの演劇は常時パリのあちこちで公演されているけれど、宣伝よりもずっと貧しい内容にこれまでに何度かがっかりさせられた経験があるせいか、選ぶ時にはとりわけ慎重になってしまう。
 そんな時「こんな劇に出演しているのですが…」という連絡をしてくれたのは村上純子さん。しかも公演会場は、シャンゼリゼ近くのマリニー劇場という、19世紀前半に建設され、同世紀後半にオペラ座と同じ建築家シャルル・ガルニエによって改築された由緒ある劇場。こんな格式高い劇場で子供向けの公演が行われているなんて素敵! というわけで、日曜日の午後に出かけてみた。東洋の寓話からインスピレーションを受けたというクリスチャン・グロー=ステフの作品 “Dragons et Merveilles(竜たちと数々の不思議)” では、とあるインドの王国の跡継ぎである王子と中国王朝の皇女が、竜のおかげで夢の中で出会い結ばれる、というロマンチックな話が描かれる。「4歳半から」という触れ込みだけれど、大人の私からみても台詞や状況に「わ~複雑だ!」という部分が多少ある。ただし、子供たちはあまり細部には気を取られず、物語の核心である王子と皇女の恋愛と、二人をとりまく登場人物たちのおもしろおかしいジェスチャーや物音、そして舞台上で繰り広げられる格闘技に目を見張り、笑いこけている。
 この公演に招いてくださった村上さんは、未来の花嫁の母である厳格な女帝役で大活躍、他の出演者も数役をこなしながらの大奮闘。そして舞台装置、衣装、照明なども、子供向けの演劇だからと手抜きをしないところがいい。演出はイスマエル・ジェマ。(海)

来年の2月19日迄。水土/14h30、
日/14h。大人25€ / 子供18€。

Theatre Marigny-Robert-Hossein :
Avenue Marigny 8e 01.4277.1450

*村上さんは子供の誕生日などパーティー向けに出張ピエロサービスも行っているそう。興味のある方は06.3695.5060へ。