国民投票の「NON」で窮地に追い込まれたシラク大統領だが、サルコジ新内務相の次期大統領選への野心をくい止めるため、5月31日、忠臣中の忠臣、ドミニク・ドヴィルパン前内務相(51)を首相に任命した。翌日ドヴィルパン首相はテレビで「私たちは困難な状況にある。だからといって抗争を繰り返すのではなく、逆に同じエネルギーを持って団結しなければならない」といつもながらの大向こうをねらった名演説。100日以内に失業問題解決の糸口を見つけたいと公約した。 ドヴィルパン新首相は、1953年11月14日、モロッコの首都ラバトで生まれた。父は実業家で上院議員。ベネズエラや米国で青少年時代を過ごし、エリート校の国立行政学院卒。外交畑で経験を積み、1995年シラク大統領の大統領府長官となる。2002年には外務相に抜擢され、国連で米国のイラク侵攻に反対する演説で注目された。 「一度も選挙に出ず、国民に選ばれたことのない人物に首相の資格はない」とサルコジに批判されたことがあるように、エリートコースだけを快進撃してきたドヴィルパン首相に、試練の100日が待っている。(真) |