ベルギーを震撼させた少女誘拐暴行連続殺人事件裁判は、今年の6月22日に主犯マルク・デュトゥルーに終身懲役の判決が下って幕を閉じた。1996年8月15日、デュトゥルーの自供で救出された少女二人のうちの一人がサビーヌ・ダルデンヌさん(当時12歳)。同年5月28日、通学途中で誘拐され、壁の後ろに作られた隠し場所に80日間監禁され、繰り返し性的暴行を受ける。 「こんなことから癒されることはあり得ないのだから、その事実に慣れて、自分一人でなんとかするしかない」と語っているが、こんな芯の強さのおかげか、精神療法を受けることもなく、中学、高校と無事に修了し、バカロレア取得後に就職。 今年の裁判でも、被告を落ち着いた表情で見据えるサビーヌさんの姿に、周囲は感動の色を隠せなかった。3年前から付き合っているボーイフレンドに応援されながら、過去を払拭する一冊 “j’avais 12 ans, j’ai pris mon vélo…et je suis partie à l’école” を書いた。「〈彼女にどんなことが起こったのだろうか〉と、通りで他人からいぶかしそうに見られることはもういや。8年前の安らぎを取り戻したい」(真) |