『刑務所:フランスの恥』*

 このタイトルは、4年前に上院で発表されたフランスの刑務所と拘置所についての報告書名だ。同時期に、パリのサンテ拘置所で7年間、医長を務めたヴァスール女医が、中世を思わせる老朽施設での非人間的日常を内部から暴露**したものだから、一時マスコミでも話題になったものだ。
 しかし、”フランスの恥”とまで評される刑事施設は全国に188カ所あり、半数近くが18~19世紀の建物だ。例えば、1793年に開設されたルマンの拘置所は許容人数58人に対し135人を拘禁し、235%の超スシ詰め状態。02年以来、サルコジ前内務相は売春婦から非行少年まで取締りの網の目を密にし、同時にぺルベン法(前法相)による警察権拡大により軽犯罪者や被疑者も含め2年間で勾留件数が20%増(今年1月から6月までに約5000人)。刑事施設の許容人数49 000人に対し63 450人を拘禁(刑期1年未満50%、被疑者35%、18~21歳9%、外国人20%)。獄中自殺件数も02年には122件(’92 95件)、過剰勾留のなかで職員への暴行件数も同年534件と増えている。ジョスパン政権でギグー元法務相が成立させた推定無罪法で勾留件数を減少させ、仮釈放を増やしたのとは逆の方向に向かっている。
 このパンク状態の拘置所の現状を司法官組合や全国拘置所職員組合などが訴え、6月15日~22日に国会議員たちに各自の選挙区にある拘置所の視察を要請。80人がそれに応え、そのうちの5人の報告をLe Nouvel Observateur誌(6/24-30)が掲載。ある共産党系議員はマルセイユのボーメット拘置所(1936年開設)を視察。77国籍からなる1820人(140%)に対し職員・看守が512人、人員不足と廃棄物の山に唖然。1820人に対し面会室はたったの56室! 服役後の社会復帰支援団体や非行少年補導員らへの援助資金も40~60%削減され、彼らはやる気が削がれる状況に。今年も猛暑が予想されるなかで、老朽した旧建築の、トイレに囲いもない10~12m2の監房に3、4人が起居する。
 どの報告も、長期服役者や軽犯・性犯罪者が雑居する醜悪な獄中生活は悔悛どころか憎悪を倍加させ、彼らの更正、社会復帰をますます困難にし、刑務所に最大多数を放り込みアフターケアなしでは、社会不安は増すばかりと、警告している。(君)



* Prisons : une humiliation pour la République.

** Médecin-chef à la Prison de la Santé.
(le cherche midi editeur :14.94euros)
 


D i c o

Maison d’arrêt
(女性名詞)
 
 Maison d’arrêtは拘置所のことで、被疑者や未決囚 prévenu、残余刑期1年未満の既決囚を拘禁する。パリ近郊にあるフルリー・メロジス拘置所は全国でも最大規模で、許容人数3200人に対し現在4 497人を拘禁。
 一方、Maison centrale(中央刑務所)は刑期1年以上の重罪服役者を拘禁。刑務所の規律を破った服役者が一時的に入れられる独房は、Quartier disciplinaire(mitard)と呼ばれる。また拘置所よりもやや開放的なCentre de détention(拘留センター)は、受刑者の社会復帰が主務で、3年未満の服役者や非行少年を対象とし、技術訓練士などが付き添う。(君)


 

パスワードをお忘れの場合、OVNINAVI.COMに登録したE-mailアドレスにパスワードをお送りします。登録E-mailアドレスを入力してください。


戻る