韓国映画の強さは、『殺人の追憶』ほかで。

 韓国映画ふたたび…。昨年フランスで公開された韓国映画は7本。今年はもっと増えそうな勢いで、今も、まったく異なる個性をもった3作品が公開中だ。前号でも紹介された『殺人の追憶/Memories of murder』はB級刑事モノの衣をまとった傑作だ。登場人物のキャラを誇張したナンセンスなギャグで笑わせながら、連続猟奇殺人事件に取り組む刑事の執念、ホシを上げられなかったことへの落胆と痛恨の念が絶妙な配分で語られる。監督ポン・ジュノは前作の『ほえる犬は噛まない』もそうだったが、(吉)のツボにバシッとはまる。「あー面白かった!」と観終わった時に思える映画は少ない。
 一方、キム・ジウン監督の『箪笥/2 Sマurs』は、韓国の古典怪談をベースにしたスタイリッシュなサイコ・ホラー。継母を嫌悪する仲の良い二姉妹、二人の実母への思い、他人を家族に入れた父への反撥、怨念が充満する一軒家で起きる怪奇現象の数々、その因果関係がしだいに明かされていく…。
 今年のカンヌ・コンペ部門出品作、ホン・サンスの『女は男の未来である/La Femme est l’avenir de l’homme』。この映画、カンヌで観た日本人からは総すかんを食らっていた(なぜ?)。ところがフランス人の間ではめちゃ評判が良い(なぜ?)。中年に差し掛かった男友だち二人が再会して学生時代を懐古する。二人がかつて関係をもった女性、スンワン、彼女は今…?妙にリアルなセックスシーンや、しみじみ感が懐かしい。淡々としたシーンの積み重ねの中に味わいがある。同監督らしい自己告白的でインティメートな作品。この映画の好き嫌いで、あなたの感性が日本人寄りか、フランス人寄りかが計れるとか…!?
 映画の力を未だに信じているところが韓国映画の強さだと思う。(吉)

●Super size me
 1カ月間運動量を押さえながら、3食すべてマクドナルドで通したらどうなるか? 監督自ら人間モルモットとなり実験に挑むドキュメンタリー。最初は馬鹿げた実験だと思ったが、拝金大国の、実は貧しい食生活に喝を入れた、極めて科学的かつ政治的な大検証だとわかった。実験の結果? ひと言、恐いです。毎日8リットルのコーラを飲み手術を余儀なくされた巨漢、毎日ビッグマックを食べ続ける謎の男、決してインタビューのアポを取らせないマック社員と、個性豊かな役者陣も脇を固める。彼らは歪んだ肥満国家の生き証人だ。そういえば先日地下鉄で、赤ちゃんに哺乳瓶でコーラをあげているお母さんを見かけた。彼女が観てくれるとよいが。(瑞)