●Le role de sa vie 映画館では、今を時めく女優エリザベスの迫真の演技が上映中。それを食い入るように見つめるクレール。24時間後、スクリーンを隔てた住む世界の違う二人の運命は、偶然から交錯する。往年のアメリカ映画『イヴの総て』のイヴさながら、無名の一市民に過ぎないクレールは、有名女優の付き人として雇われることになるのだった。 周囲の者を焼きつくす太陽のようなエリザベスと、太陽の光を受けるだけの月のようなクレール。二人の間に結ばれた「友情らしきものを」断ち切ることができた時、クレールは自ら光る太陽になれるのだ。クレール役カリン・ヴィアールの、力み過ぎず、押さえ過ぎずの演技が秀逸。フランソワ・ファヴラ第一回監督作品。(瑞)
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●Rosenstrasse ヒットラーの政権下にあるベルリンには、ユダヤ人である夫たちをナチスの手から救おうという運動を起こした妻たちがいた。マルガレーテ・フォン・トロッタ監督は、現代ニューヨークのユダヤ人家庭に起こる異教徒との結婚問題を出発点に、時を遡りナチスの圧政にも負けず愛しい者を救うため抵抗を続けた女性たちと、この知られざる史実を描き出している。 史実には確かに忠実かもしれないが、もっとドラマ性を持たせてもよかったのでは? フォン・トロッタの演出は? という大きな疑問符が残る。主演のカーチャ・リーマンは昨年のヴェネチア国際映画祭で女優賞獲得、という事実はあっても不完全燃焼の作品という印象はぬぐえない。(海) |
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●Memoiries of Murder
韓国で実際に起きた連続殺人事件が下敷きの刑事ドラマ。ソウル近郊で女性の変死体が見つかり、性格も捜査方法も対照的な二人の刑事が捜査に着手する。未解決の猟奇事件を通して、個人が社会に抑圧された80年代韓国の負の記憶を、弱冠34歳のポン・ジュノ監督があぶり出す。先のカンヌはもちろん、世界の映画祭で台風の目となっている韓国映画の勢いを間違いなく体感できる一本。(瑞)
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●Les Idoles 60年代に流行ったイエイエルックに身を包んだB ・オジエ、P・クレマンティ、J-P・カルフォンが構成するアイドルグループの人気の裏表が露わにされていく。マルク・ドーが、大成功を収めた自作舞台劇を映画化したものだから、演劇的な演出や演技が見られるけれど、そこがまた「キッチュ」で「大げさ」で笑ってしまう。へー、今は亡きクレマンティ、オジエやカルフォンって昔はこうだったのか!(海) |
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