カンヌ映画祭は「もったいをつける」

 今月は映画ファン垂涎の映画が続々と公開される。アルモドバル『La Mauvaise education 悪い教育』、クストリッツァ『La Vie est un miracle 人生は奇跡だ』、タランティーノ『キル・ビル Vol.2』等々、題名を聞いただけでも監督の個性と合わせて早く観たくて、試写に潜入しようとしたが、いずれも失敗に終わった。理由は、これらの作品が今年のカンヌ映画祭(5/12~23)の目玉だから。出品作をカンヌ上映前に見せてはいけませんというルールを作って箝口令(かんこうれい)を敷く。こうやって期待や噂を惹きつけ映画祭を盛り上げようという演出の一環だ。なんでカンヌが世界一の映画祭にのし上がったかという秘密のレシピの一つがこれ、「もったいをつける」。たかが映画(?)を観せるのに赤絨毯を敷き服装チェックをする…、パスがないと参加できない…、このパスをゲットするための関門…、プレスパスなど申請したら、カンヌについてどういう記事を何頁掲載するかという企画書提出を迫られ、翌年もプレスパスを取りたい場合は、前年度に書いた関連記事を見せねばならぬ。だから方々に仕掛けられたチェックポイントをクリアーして参加できた人は、選民意識をくすぐられ赤絨毯を昇って舞い上がり「またここに来たい」と思うがあまり、提灯記事を書いてしまう。映画監督の中にも「カンヌに行くために映画を作る」という履き違えた意識をもってしまう人も出てくる。出品作の一般公開時には「カンヌ…部門正式出品作」などの表示義務がある。こうした徹底した演出の結果が今日のカンヌ映画祭なのだ。
 しかし今年は、例の舞台・映画関係者の待遇改悪反対デモが予想され、中止を余儀なくされた1968年以来の混乱が起こるか?(吉)

La Vie est un miracle

●Metropolis (mk2)
 フリッツ・ラングが1927年に撮ったSF大作がDVDで発売。時は2026年、ロボットのごとく働かされる地下の労働者とひと握りの支配者たちの葛藤。地下のカタコンブで救世主の到来を告げる娘と社長の息子の恋。表現主義的な照明のみごとさ、R・スコットの『ブレードランナー』にも大きな影響を与えた未来都市のセットが、鮮明な画像で迫る。音楽もオリジナルの楽譜をもとにステレオで再録音された。なるべく大きな画面で観たい。(真)