一番キュンとくるのは 子供の描写。 “PONYO sur la falaise”

 昨年の夏休み、日本では子供たちが「ポ~ニョ、ポニョポニョ、さかなの子~」と歌っていた。宮崎駿の『崖の上のポニョ 』の主題歌。昨年の日本での興行収入では155億円を上げダントツ1位。揺るぎなき宮崎アニメの貫禄だ。で、『 PONYO sur la falaise』がいよいよこちらでもイースターの休みに公開される。やっぱり宮崎アニメで一番キュンとくるのは子供の描写。5歳のソースケ君と赤いお魚の形をした半人半魚(実は本作はアンデルセン『人魚姫』の子供ヴァージョン)ポニョの出会い、お互いに惹かれてゆく様、もう絶対にいっしょにいたい!  という強い気持ち、このあたりの流れと描写が最高だ。つまりもう前哨戦でこの映画はクライマックスを迎えてしまう。
 ポニョには変なお父さん、フジモトと、不思議なお母さん、グランマンマーレ(海の母)がいる。父は、自然を破壊する人間の世をはかなんで海底に住むことを決めた一種の魔法使いで、陸に上がったポニョを捕まえて海底に連れ戻す。でもソースケに会いたい一心のポニョは、人間になることを選んで、父に反抗、禁断の魔法液を海に流して父が築いた海底の国からの脱出を図る…。この辺の物語に込められたメッセージが、作者側にとっても未整理なのか、観る者にとっても少々未消化に終わる。一方、ソースケと、養老院で働くエネルギッシュなママ、リサ、船乗りのパパ、コーイチ、養老院のおばあちゃんたちとの関係も面白おかしく考え深く描かれて映画に厚みをもたせる。魔法の高波に乗って、人間の女の子になって陸に戻ったポニョを、男の子のソースケは約束通り守りながら、高波にのまれた養老院の捜索に向かう…。
 後半は子供二人の冒険譚だ。パーフェクトな出来ではないけど、観てよかったと思えます。(吉)