ラファラン首相を骨の髄までしゃぶる?

 地方圏・県会議員選挙で右派が惨敗し目もあてられないラファラン首相。彼の辞任表明にもかかわらず、3月30日、シラク大統領は敗残兵ラファラン首相を留まらせ、2年以来3度目の内閣改造を強行。6月13日のEU議会議員選挙まで73日間の猶予を応急内閣に与え時間稼ぎ? 国民が引き起こしたラファラン政権拒絶の竜巻は、6月13日も右派に向けてさらに破壊力を増すことを大統領は感知しているはず。それともシラク大統領は国民の批判に耳をふさぐ?
 第1回投票に次ぐ決選で、ラファラン政権「拒絶」票は右派を36.88%にまで引き下
ろし、左派は50.35%の高支持率。閣僚候補が全敗し、オーヴェルニュ地方で18年議長を務めてきた御大ジスカール・デスタン元大統領(78)も惨敗。極右国民戦線FNが22%(右派43.56%)を得たアルザスとコルシカ以外、20地方がバラ色に染めつくされる。地方市民が右から左へ乗り換え、国政は右派、地方は左派が支配することになる。
 2002年4月21日の屈辱的大統領選挙の傷跡がまだ完全に癒えているとはいえないジョスパンなき社会党は、国民の急激なこの心変わりに驚喜発奮。フランスでは選挙ごとの政権交代が定番とはいえ、国民はリベラルで保守的なラファラン流社会改革案に対する腹いせか、同首相の口癖「フランス・ダンバ(下のフランス)」ともども政府とシラク大統領に背を向けたといえる。
 なかでもラファラン首相の地元ポワトゥ・シャラント地方で、オランド社会党書記長の伴侶セゴレーヌ・ロワイヤル候補がUMP候補を大差で破り、支持者たちはスペイン社会労働党サパテロ新首相に倣いフランスの「ラ・サパテロ」と拍手。4児を持つ彼女はミッテラン時代から環境、教育、家族、社会問題などを担当してきただけに、地元の人びとは彼女を議長に社会保護重視の地方政治を望んでいるのだろう。
 2年来ラファラン政権は公務員定年制改革や、若年雇用契約の廃止、芸術分野の臨時雇い失業保険問題や研究予算の緊縮政策、上層に有利な3%減税と、公務員から労働者、研究者まで敵にまわしている。さらに医療保険改革という爆弾を抱えるシラク大統領は、人気のある前内務相、サルコジ新経済・産業相に母屋をとられたくないジレンマと、いくつかの持駒をすげ替えるだけであと3年もちこたえられるか、政治家歴35年来最大の断末魔と闘っているよう。(君)



D i c o

France d’en bas
(固有名詞+形容詞句)
 
 ジャン=ピエール・ラファランは、長年ポワトゥ・シャラント地方圏議会議長を務め、政界ではあまり知られていなかった。2002年、再選されたシラク大統領は、世間をなるほどといわせるキャスティングで、この、いわゆる一介の地方代議員を首相に任命。この名誉ある人選に応え、ラファランは自分こそ「France d’en bas」(下のフランス=庶民)を代表する政治家として、国民に、そして地方に密着した政治と意気込んだ。この所信の現れがdécentralisation(地方分権化政策)だが、国家予算を減らすためではと地方公務員は批判的。今選挙の結果は「France d’en bas」からのラファラン首相への返答といえよう。(君)


 

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