寓話詩というと聞きなれない言葉のようでも、「ありときりぎりす」「からすときつね」「せみとあり」などの題名を聞けば何のことだか想像がつく。動物を人間に見立てて描かれる短い物語〈寓話詩〉の元祖は、紀元前7~6世紀を生きたギリシア生まれのイソップで、ラ・フォンテーヌは、それから約20世紀後に240編以上の寓話詩を書いている。 さて、ラ・フォンテーヌの寓話詩約20編を舞台劇としてまとめたものが、このたびコメディー・フランセーズの上演目録に加えられた。しかも、演出にロバート・ウィルソンというスーパースターを迎える、というのだから宣伝効果は抜群!「台詞より動物の鳴き声や発声を重視した」とラジオでリポートされたのを聞いた私は興味津々。けれども売り出される先から切符はすぐ完売に。結局公演1時間前に並んで「視界が限定された」座席を入手する。さて結果は…照明や舞台美術、衣装など、視覚的には非をつけがたい優れた要素に溢れている。また、ふだんはモリエールだ、ラシーヌだ、と古典劇を神妙な顔つきで演じる役者たちが、ライオン、さる、羊、からす…など動物に変身するのもおかしい。 ただ、前触れどおり、台詞に重きを置いていないせいか、テキストが聞きづらい。原作は戯曲ではなく「寓話」ですから、言葉はやはり大切でしょう? 客席に目立つ子供たちにこそ、美しいフランス語の響きを伝えて欲しい…まあ、良くも悪くもコメディー・フランセーズにしては大胆な試みではある。5月15日まで他演目と交替で上演。(海) |
*Comedie Francaise : |
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Dance | |
●Francesca LATTUADA 《OSTINATO》 演出振付は、美術を学んだ歌姫(?)フランチェスカ・ラチュアダ、ダンスはクラシックの基礎を持つコンテンポラリー界のベテラン、リタ・カリアによるソロ、そして衣装は三宅一生のあのプリーツプリーツ、という作品。ひたすら踊る生身の身体から「神秘」を引き出そうと試みるのは、二人の育ったイタリアという背景、または「カトリックのもつ神秘性」の影響だろうか? 近ごろ多い、ビデオなどメディアアートを駆使して社会の断層を感覚的に切り取り身体に反映させるダンス作品とは、たしかに一線を画する。 彼女は今までの作品でも、一見はちょっぴり不気味でキッチュな印象すら与えるさまざまな演出の奥に不思議なピュアなストイックさを見せていた。その感性を今回は「(誰もが持つ内面の)カオスに対抗するための、原初的、抽象的な踊る身体を持って」見せると語る。(珠) |
3月30日~4月3 日 11€ /15€ *Les Abbesses:31 rue des Abbesses 18e 01.4274.2277
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