速度違反監視レーダーの設置により、昨年は事故死亡者は5732人、前年比21%減 ! さすが「機動力とアクション」をモットーとする “サルコ” と持ち上げられたサルコジ内務相は、1月14日の記者会見では250人のジャーナリストを前に、6年ぶりに犯罪件数が400万台を割り(3 974 694件)3.38%減と、自信満々。それだけでなく、昨年4月に施行した売春取締り法*により、9カ月間でパリの売春婦が一挙に4割減少! 外国人売春婦約130人の密告(ヒモを密告すれば滞在許可が得られる)で、30の売春婦国際手引き人組織を壊滅させた、と高らかに発表(1/17)。 サルコジ内務相の独り芝居を前にしてシラク大統領(71)は、オヤジの座をねらう出過ぎ者の養子 “サルコ”(49)が「ヒゲを剃るときだけでなく」いつも次期大統領選が頭にあるというのでますます煙たい。最近、訪中時にサルコ氏は、シラク大統領が大好きな相撲を「ポマードでひっつけたチョンマゲ頭の肥満症、あれはインテリのスポーツじゃない」とオヤジの顔に泥を塗ることもいとわない。 本題に入ろう。サルコジ内務相はパリの売春婦が9カ月で約1700人から約1000人に減ったというのだが、「その数字は眉唾もの」と疑うのは、パリ市と売春婦保護団体。調査研究者 Mossuz=Lavau、Handman両氏がパリ市に提出した報告書によると、売春婦が集中していた右岸の環状道路沿やヴァンセンヌ、ブローニュの森での取締り強化により、売春婦たちが他の地区の人気のない空き地や道路に移動したことと、時間帯も深夜3時から朝7時までとずらしているので、売春婦の数は減ってはいないという。 警官の目から遠ざかろうとする売春婦たちは、同時に、保護団体が差しのべる手からも遠のくことになる。一般の目にふれない場所に追い込まれた売春婦らはヒモのなすがままに。客の暴力の対象にもなり危険が増すばかり、と報告書は売春の本質的変化を警告する。 現在、売春婦の70%は外国人である。おもな流れは東欧とアフリカ、中国の三つの支流からなる。東欧からやってくる若い女性たちは、パリに給仕の仕事があるという密入国手引き人の誘いにのって来るのが一般的だ。アフリカ出身者は、ルワンダやナイジェリアなど内戦で孤児になり手引き人を介しパリに着くが、借金の返済のため、そして母国の家族への仕返しを恐れ売春から抜け出られなくなる例がかなり多い。最近ベルヴィルやレピュブリック、9区のクリシー広場界隈に目立つ中国人売春婦の大半は40代前後で、彼女らは母国に残してきた家族や子どもたちに仕送りするためだという。 同報告書は、真夜中でも彼女らを保護できる巡回バスと応急宿泊施設の拡充、外国人売春婦らが仕事につけるようフランス語講座の開設をパリ市に求めている。 それらは”サルコ”の分野外だろうが、逮捕し罰金を払わせるだけでなくアフターサービスも必要なのである。(君)
売春取締り法* |
2003年度売春取締り件数(9カ月間) 3181 全国の調書・告訴件数 1726 パリ市内 1690 パリの路上客引き逮捕件数 569 そのうちの罰金処分件数 126人 外国人売春婦国外追放 274人 ヒモの逮捕件数(02年:144件) (Le Monde : 04/1/15) |